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海外大手企業がワイナリーを保有
趣味・投資……奥深きワインの世界

2018.01.25

日本でも高い人気で消費量が増加傾向にあるワイン。海外に目を向けると、消費面では中国の伸びが著しく、生産面ではフランス産だけでなく、米国やチリ産などのワインが品評会で高く評価されるようになっている。
裾野の広がるワインの世界であるが、投資や趣味の対象としても、大きな魅力を持っている。海外大手企業では、自前でワイナリーを保有している例もある。単なる消費だけではない、奥深きワインの世界とは。

(写真=PIXTA)

高級ブランドから保険業、大統領まで、ワインに魅せられた企業とは

海外にはワインに投資としての価値を見出している企業が存在する。ラグジュアリーブランドの仏シャネルもその一つである。シャネルは3つのワイナリーを保有しており、製造したワインも販売している。シャネルの名やロゴは入れていないものの、知る人ぞ知るシャネルワインとして人気のようだ。

1994年に仏ボルドーのワイナリーを買収したシャネルは、1996年にも同じくボルドーの別のワイナリーを買収。2015年には3ヵ所目として米国のワイナリーを選んでいる。ワインの投資価値の高さと生産国の広がりがうかがえる象徴的な出来事といえるだろう。

ラグジュアリーブランドとして培ったブランド力とワインの親和性が高いことは、ドン・ペリニヨンなどの高級シャンパンやワイン製造で知られる仏モエ・エ・シャンドンがルイ・ヴィトンを中核とする仏LVMHグループの傘下であることからもうかがえる。

ワインに着目しているのはラグジュアリーブランドだけではない。大手保険・金融グループである仏アクサも運用資産の一部をワイナリーへ投資している。保険とワインという無関係のように見える組み合せだが、同社の掲げるワイン投資への哲学は非常に興味深い。保険事業には保険会社にとって長期的な負債を抱える側面がある一方、ワイン造りは長年かけて価値を成熟させていく長期投資の側面があるという。それらは相互補完の役割を果たすという哲学の下、ワイナリーへの投資を行っているようだ。

米トランプ大統領の一族もワイナリーを保有している。その名を冠した「トランプワイン」はトランプホテルや直営レストランを中心に販売されてきたが、大統領就任で知名度は飛躍的に高まった。米バージニア州にあるワイナリーを2011年にトランプ家が買収、現在はトランプ大統領の次男であるエリック・トランプ氏が社長を務めている。

日本企業でもワイナリー投資を行う例がある

日本にもワイン投資に価値を見出している企業がある。

大塚製薬等を傘下に持つ大塚ホールディングスもワイナリーを保有している。米カリフォルニア州にあるワイナリー、リッジヴィンヤーズを1986年から保有している。醤油で知られるキッコーマンも「マンズワイン」のブランドで長野県と山梨県にワイナリーを保有。醤油醸造で培った技術を応用できると、1962年からワイン造りに取り組んでいる。

山梨県にある「MGVs(マグヴィス)ワイナリー」の保有企業である塩山製作所は、半導体の製造・加工を行うメーカーである。半導体メーカーがワイナリーを保有しているのには2つの理由がある。

1つめは半導体製造の技術を応用できる点。半導体製造とワイン造りでは、酸素に触れさせない製造過程が重要という共通点があり、本業の技術が活かせるのだそうだ。2つめは、半導体製造は技術革新のスピードが速いため、長期での価値の成熟が必要となるワイン造りを行うことで、事業ポートフォリオを安定させるという点である。こちらはアクサと同様の考え方といえるだろう。

趣味としてのワインの世界

ワインは投資対象としてだけでなく、趣味・嗜好品としても楽しまれている。

有名どころでは、ゲームメーカー・カプコンの創業者で、現・代表取締役会長CEOの辻本憲三氏は、私財を投じ、米カリフォルニア州にワイナリーを築き上げた。「ケンゾーエステイト」と名付けられており、投じた額は100億円にものぼるといわれている。趣味と呼ぶにはスケールが大きいが、ここまで私財を投じることができる程、ワインには魅力があるともいえる。

世界には経営者やハリウッドスター、有名歌手など他にもワイナリー経営に私財を投じる人はいる。ワイナリー経営は行わなくとも貯蔵庫やワインセラーにヴィンテージワインを収集している愛好家は多い。

日本ソムリエ協会によると、実務経験が必要なソムリエより多くの人に門戸が開かれたワインエキスパートという認定資格の受験者も増えている。ワインは有名人や経営者だけのものではない。

国税庁発表資料やメルシャンの調査によると、日本のワイン消費量は近年、急速に上昇を続け、過去最高の水準となっている。海外と比べると1人あたりの消費量は低いが、その分、伸びしろがあるともいえそうだ。

今後も広がりを見せていくであろうワインの世界。趣味だけでなく投資という目線で考えることも一つの選択肢かもしれない。