企業不動産戦略の鍵? 不動産のバリューアップとは?

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どんな建物でも、新築時から時間が経てば経つほど、その価値は下がっていく。オフィスビルや投資用物件でもそれは変わらず、賃料も売却時の価格も下がっていくことも多い。しかし、その低下を最小限にとどめる、あるいはむしろ価値を上げる方法もある。それが不動産のバリューアップだ。

古くなった物件、収益性が下がった物件は売却するのがいいのか?

事業用不動産、収益不動産を所有している企業にとって、「不動産の価値」の低下は大きな問題となる。しかし、土地だけならばともかく、建物は新築時の価値がもっとも高く、その後は下がっていく一方だ。好立地でなかなか賃料が下がらない物件もあるが、それでも高い確率で賃料、収益性は下がっていく。好立地物件であっても、周辺に新たな類似物件が増えるなど、環境の変化で収益性が大きく変化してしまう。また、建物の流行り廃り、設備の老朽化など、新築時の収益性を保つことは相当難しい。

とはいえ、不動産を所有していると維持管理費、固定資産税など、一定の経費負担は必ず生じる。収益性が下がってしまうとそれらの経費負担が大きな割合を占めてしまい、当初見込んでいた利益が得られないことも起こり得る。そこで、古くなった物件を売却しキャピタルゲインを得ようとしても、そもそも収益性が下がった物件では望むような価格での売却ができないことも予想できる。

ソフト面からのアプローチとして、賃料を調整する、不動産会社の力を借りて空室率を下げるなどにより、収益性を回復するといった手段もあるが、不動産の収益改善、バリューアップの切り札と言えるのが「リノベーション(リニューアル)」だ。簡単に言えば、収益性が高い、魅力ある物件に生まれ変わらせることである。

不動産のリノベーション(リニューアル)とは?

リノベーション(リニューアル)は、一般的に不動産に対して行われる「リフォーム」とは、少し考え方が異なる。厳密に区別はされていないが「リフォーム」とは「原状回復・機能維持」であり、「リノベーション(リニューアル)」とは「不動産の価値を向上させる改修」と捉えられていることが多い。つまり、リフォームは「古くなったところ、故障した箇所を修繕する。また、設備などを更新する」ことにとどまる。もちろん、リフォームをすることも重要だが、根本的な「不動産価値の向上」にはつながりにくい。

一方、「リノベーション(リニューアル)」では、原状回復・機能維持ではなく、さらに踏み込んだ「不動産価値向上のために改修」になる。例えば、オフィスビルの場合、建築当時のオフィスニーズから発想を転換して、オフィスの構造そのものを作り変えることも考えられる。最近ではコロナ禍の影響でサテライトオフィスの需要も高まっているが、賃貸オフィスからコワーキングスペース、シェアオフィス、サテライトオフィスへの転換なども考えられる。自社ビルの場合でも、コロナ禍の影響でテレワークする従業員が増え、従来のオフィススペースが必要ない場合もありえる。そういった余剰スペースを賃貸オフィスやシェアオフィスとし、多様なワークプレイスへの対応を行うことも可能だ。

周辺環境が変化し、建築当時とは不動産需要が変わっている場合もある。かつては駅から距離がある物件だったとしても、近隣にマンションが増えてきた場合などは、商業用物件としてのニーズが高まっている場合もある。そのような立地に空き事務所や倉庫等活用できていない事業用不動産などがあった場合は、店舗に用途変更して貸し出すと言ったこともできる。また、資金に不安がある場合は、「等価交換のスキーム」を活用して有効活用やリノベーションを行うことも可能だ。

「リノベーション(リニューアル)」は、時代の変化、環境の変化を踏まえて、その不動産の価値を最大化するために行うものだ。だからこそ、「不動産価値を高める=バリューアップのためにリノベーション(リフォーム)」の何が最適かを見極める必要がある。

バリューアップの基本は「ニーズの把握」と「費用対効果」

バリューアップの目的は収益性の向上、あるいは売却益の最大化にある。バリューアップ、そのためのリノベーション(リニューアル)にも費用がかかる。そこでかかった費用以上のゲインがなければ、バリューアップにはならない。バリューアップ後にどれだけの収益性の向上、売却額の増加が見込めるかを判断し、リノベーション(リフォーム)にかかるコストを算出した上で、判断しなければならない。

どれだけのバリューアップができるか、そのためにどのような方針で取り組むかを判断するには、「ニーズの把握」「費用対効果」に基づいた判断が求められる。この判断をするには、不動産に関する専門的な知識、市場動向、現地の状況を見極めるだけの経験と知識が必要だ。さらにリノベーション(リフォーム)後のコンサルティング、物件管理、売却時のサポートまで自社で行うことは難しい。それだけのことに対応でき、信頼できる不動産会社に早期に相談し、長期的視点での不動産のバリューアップを行うことが望ましいと言えるだろう。

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