• スペシャリストの智
  • リアルな現場
  • The Watch
  • OFFICE JOURNAL
  • 不動産の税金ガイドブック
  • 民法改正のポイント
  • 空室率レポート
  • 鑑定士の視点

企業の『遊休不動産』を活用して、負債を資産に変えるには?

2020.06.15

企業が所有する『遊休不動産』は、全国で43万件も存在する。活用されていない不動産は、それだけでコストを発生させる、いわば「負債」だと言える。なぜこれほど『遊休不動産』が増えてしまっているのか、その背景と『遊休不動産』を活用するポイントを紹介していく。

『遊休不動産』問題は、空き家問題と同レベルの社会問題?

いま、全国的な社会問題として注目されていることの一つが、「空き家問題」だ。所有者不明、居住者もいない空き家は、自治体が処分することもできない。管理もされていないため、廃虚化し、治安上の問題も発生する。2018年の空き家数は、全国で約846万戸に達しており、直近20年間で約1.46倍にも増加している。

空き家問題も大きな社会課題だが、もう一つ不動産に関連する課題がある。それは企業が所有する『遊休不動産』問題だ。

国土交通省が令和元年9月24日に発表した「平成30年法人土地・建物基本調査」の速報集計結果によると、企業が所有する不動産のうち、遊休不動産と同義の「低・未利用地(駐車場、資材置き場、利用できない建物及び空き地の合計)」は全国に43万件も存在する。しかも、現在の『遊休不動産』のうち、「5年前も遊休不動産だった」ものは約29万件と7割近くに及ぶ。さらに、『遊休不動産』を所有する企業によれば「遊休不動産を転換する予定がある」と回答した企業は0.6%に過ぎず、「転換するが5年以上かかる」「転換を予定しているが時期は決めていない」「転換の予定はない」とい回答した企業は、合計で48.1%と約半数に及ぶ。つまり、現在、企業が所有する『遊休不動産』の多くは、5年後も同じく『遊休不動産』である可能性が高いということになる。

『遊休不動産』の放置は、企業にとって悪手か?

空き家と同じく、『遊休不動産』も、社会的な影響は大きい。国土交通省では、自治体が所有する『遊休地』や空き家を活用するための「遊休不動産再生を活用したエリア価値向上手法に関するガイドライン」をまとめ、積極的な「遊休地の活用」を推進している。

そもそも、不動産は所有するだけでコスト、及び所有者責任(工作物責任)等の責任問題が発生する。固定資産税だけではなく、維持管理する費用もばかにならない。企業が所有する『遊休不動産』は、企業にとって負債・リスクにほかならないはずだ。

ところが、前項で述べたように、「過去5年間、遊休不動産は手つかず」であり、「今後、積極的な遊休不動産の活用を考えている」という企業は少数派だ。高度経済成長期からバブル期にかけて、いわゆる「土地神話」、つまり「不動産は持っているだけで価値が上昇する」ことが当たり前だった時代とは違う。
「事業を転換してかつて活用していた土地が不要になった」、「一定の業務をアウトソースするようになり、その業務で活用していた不動産が浮いた」、「新規事業を立ち上げようと不動産を取得したが、うまくいかなかった」、このように『遊休不動産』が生まれる理由は他にもたくさんあるだろう。

では、なぜ『遊休不動産』は活用されないのか。「不動産の売買は難しい」「どう転用すればいいのかわからない」「転用して失敗したら大変だ」、ならば「いまのまま、固定資産税と管理費を払っておいたほうがいい」、こんな消極的な思考があるのではないだろうか。結果として、利益を生む可能性がある資産(不動産)を塩漬けにして負債にしてしまっている可能性がある。活用されない不動産=『遊休不動産』をそのまま維持することは、企業経営にとってマイナスなのだ。

『遊休不動産』を活用し、資産にする「CRE戦略」とは?

企業が所有する不動産の価値を高め、活用することを「CRE(企業不動産戦略)」と呼ぶ。多くの人は、遊休不動産の活用というと「駐車場にでもして、固定資産税分くらいは稼ぎたい」と考えるかもしれない。それでも、「既存の上物(倉庫、工場など)を撤去するコストも掛かる」と及び腰になるかもしれない。
しかし、不動産の活用手段は数多い。例えば、賃貸マンション、オフィス、駐車場、商業施設、物流倉庫。他にも、高齢者施設や医療施設、トランクルームや貸農園など、最近、需要が高まっている用途もある。

→さまざまな土地の活用手法については、こちらもご覧ください。
「土地の有効活用で、企業の収益性を向上」

現在、入居率が低い賃貸マンション、アパート、オフィスビルでも、適切なリノベーションを行うことで入居率を高めることもできる。ただの更地を使った駐車場でも最新のシステムを導入し、近隣の状況に合わせた価格設定にすることで稼働率が上昇する可能性もある。住宅やオフィスとしては立地条件が悪くても、工場や物流倉庫、大型商業施設などには適しているケースも珍しくない。これらのさまざまな検討を行った上で、売却することが最適の選択肢となることもある。リノベーションや転用に係るコストについては、売却後も物件を使用できる「リースバック」を活用して資金調達することも可能だ。

→リノベーションオフィスについては、こちらもご覧ください。
「話題のリノベーションオフィス。そのメリット、注意点とは?」

→土地を売却後も使用できる「リースバック」についてはこちらもご覧ください。
「『リースバック』の活用で企業不動産(CRE)管理を効率化できる?」

まずは、『遊休不動産』に対する姿勢を「消極的な現状維持」から、「積極的な活用方法の模索」に転じるべきだ。

『遊休不動産』を負債から資産に変えるには、プロの経験と知識が欠かせない

所有している『遊休不動産』をどのように活用するのがベストなのか。投資に見合うリターンは見込めるのか。そういったことを判断するには、専門的な知識が必要になり、不動産の取引にも専門知識が求められる。もともと不動産を扱っている企業でもない限り、そういったノウハウ、知識を持った人材はいないだろう。そこで、不動産の専門家、多くの不動産の売買経験があり、近隣の状況を見極められる知識と経験を持つ不動産会社の意見を求めることが必要になってくる。

そもそもこの経験と知識が社内にないからこそ、「消極的な現状維持」に陥っていたはずだ。まず、不動産の活用、CREについて、経験と知識を持った不動産会社をパートナーに選ぶことから、『遊休不動産』の活用を始めてほしい。不動産会社でも特定の地域に詳しい、売買や賃貸を専門とする不動産会社も多い。しかし、CREに関しては、幅広い経験と各分野での専門性の双方が求められることを意識しておくべきだ。

三菱地所リアルエステートサービスでは、『遊休不動産』の活用、CREについて、豊富な経験とノウハウを元に総合的なサービスを提供しています。
CREについての総合的な内容はこちらを、不動産の投資、資産運用については、こちらをご覧ください。具体的なお問い合わせは、こちらのお問い合わせフォームをご利用ください。