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『ワークスタイル変革』への取り組みは必須?具体的にするべきこととは?

2020.02.07

2019年4月に「働き方改革関連法」が施行された。長時間労働の規制、有給休暇の取得義務化、高度プロフェッショナル制度の導入など、企業が取り組むべき内容が定められている。そもそも、少子高齢化が進み、労働人口が減少する現在、生産性の向上、優秀な人材の確保のために、広い意味での『ワークスタイルの変革』は、企業にとって欠かせない取り組みだ。

そもそも『ワークスタイル変革』とはなにか?

この数年、『ワークスタイル変革』が叫ばれる背景には、「少子高齢化」がある。また、ブラック企業が問題となるように、極端な長時間労働などの労働環境の問題が顕在化していることも関連している。政府は2019年4月に「働き方改革関連法」を施行、長時間労働の是正、有給休暇の取得などを企業に義務付けた。一見すると、長時間労働の上限規制、年間5日以上の有給休暇の取得義務化、勤務間インターバル制度の導入など、『ワークスタイル変革』とは労働者を守る取り組みに見える。それは間違いではないが、本来の目的は、「企業の生産性向上」「イノベーションの創出」「それらを実現する優秀な人材の確保」だ。

高度経済成長期からバブル期にかけて、働くということは、多くの場合、会社に出勤し、決められた場所で働くことを意味していた。勤務時間も朝9時から夕方5時、あるいは6時まで、加えて数時間の残業が当たり前だった。この従来通りの『ワークスタイル』では、子育て中の母親、介護すべき家族がいる人は、働くことが難しい。障がいがある人、持病がある人なども、一律の働き方に対応できず、就労が困難な環境だったと言える。しかし、多様な働き方を認め、ダイバーシティを推進することで、これまで意に反して働くことができなかった人たちも企業で活躍できるようになる。企業にとって、少々、勤務時間が短くても、出勤せずリモートワークでも、優秀な人材が活躍できたほうがメリットは大きい。『ワークスタイル変革』の取り組みは、従業員への福利厚生ではなく、「企業の成長戦略」だという認識が必要だ。

法律で定められた『ワークスタイル変革』への取り組みとは?

『ワークスタイル変革』への取り組みは、労働環境を改善し、多様な人達が、多様な働き方で活躍できる環境整備だと言える。そのなかで、2019年4月に施行された「働き方改革関連法」で定められている内容は、必ず実施しなければならない。内容としては「時間外労働割増賃金の支払い義務」「年次有給休暇の確実な取得」「フレックスタイム制見直し」「企画業務型裁量労働制見直し」「高度プロフェッショナル制度創設」などがあるが、具体的には、次の3つのポイントを押さえておきたい。

残業時間の上限規制

・時間外労働(休日労働は含まず)の上限は、原則として、月45時間・年360時間となる

・臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、「時間外労働…年720時間以内」、「時間外労働+休日労働…月100時間未満、2~6か月平均80時間以内」とする

・大企業への施行は2019年4月だが、中小企業への適用は1年猶予され2020年4月になる

年次有給休暇の
取得義務化

・年次有給休暇が10日以上付与される労働者を対象に、年5日の年休を取得させることが企業の義務となる

・企業は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければならない

・時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取し、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう努めなければならない

・すでに年5日の有給休暇を取得、あるいは申請している場合、企業は時季を指定する必要はなく、また指定してはならない

・企業は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければならない

・年次有給休暇の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければならない

同一労働同一賃金の
実現
(雇用形態に関わらない公正な待遇の確保)

・同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに、不合理な待遇差を設けることが禁止される(不合理な待遇差の禁止)

・非正規雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」など、自身の待遇について説明を求めることができ、企業は、非正規雇用労働者から求めがあった場合は、説明をしなければならない

『ワークスタイル変革』を推進するためのポイントとは?

先に記した「働き方改革関連法」への対応は、『ワークスタイル変革』の取り組みの一部だ。法に則って、社内の制度を整備しても有名無実では意味がない。よく言われることだが、いくら「今日は定時に帰りなさい」「休日出勤はしないように」と声をかけ、社内ルールを作っても、従業員が「仕事の量は変わっていないのに、残業をしないように言われても、仕事が終わらない」という状況に置かれていては、せっかくの制度は絵に描いた餅になる。むしろ、サービス残業、会社に隠れてする残業が増えることになりかねない。そうならないためには、仕事そのものの進め方、会社の組織、環境が変わらなければならない。
そこで企業が取り組むべきポイントは、大きく次の5つになる。

1. 社内の組織改革
組織改革とは「マネジメントと意思決定プロセスの改革」のことを指す。仕事の効率を下げている業務プロセスは何か、意思決定を遅らせている要因は何かを、社内でのヒアリングを実施するなどして正しく把握し、組織を改革する必要がある。

2. 意識改革
いくら制度を整えても、経営者と従業員の意識が変わらなければ意味がない。長時間働くことが美徳、身を粉にして会社に尽くすのが当たり前という意識の経営者・上司がいると、社内のワークスタイル変革は進まない。意識改革を促進するには、経営者自らが積極的に情報発信し、「なぜワークスタイル変革に取り組むのか」を社内に周知しなければならない。

3. ICT環境の整備
ワークスタイル変革の一環として、在宅勤務、リモートワークの導入を検討する企業は多いが、その実現にはICT環境の整備が欠かせない。社員へのノートパソコンやスマートフォンの支給、通信環境の整備、情報共有のためのグループウエアの導入などが必要となる。

4. 雇用形態の改革
従来の「正社員」を中心とし、決められた時間に決められた場所で働くことを前提とした雇用形態ではなく、パート、アルバイトなどの非正規労働者を含め、短時間労働、在宅勤務を含めた多様な雇用形態を導入することが求められる。

5. オフィス環境の改革
上記1~4の改革に適応したオフィス環境を実現する必要がある。具体的には、フリーアドレス化、ペーパーレス化、リフレッシュスペースの充実などが挙げられる。

オフィス改革が『ワークスタイル変革』で重要となる理由

先に述べた『ワークスタイル変革』を実現するための5つのポイントのなかで、実は「オフィス改革」が重要なポイントとなる。まず、在宅勤務やリモートワークを実現すると、従来の部署ごとに集まって仕事をする意味合いが薄れてくる。むしろ、社内組織に縛られず、フレキシブルに働くことを実現するフリーアドレス制の導入は当たり前のことだと言える。また、リモートワーク、モバイルワークを実現するために、サテライトオフィスの整備も検討するべきだろう。

また、オフィスを変革することは、誰の目にも「変化がわかりやすい」。社内の制度を変更しても何が変わったかわかりにくいことがあるが、オフィスのレイアウト、設備が変更されることで、経営者・会社の意思をわかりやすく表明できる。なぜ、オフィスが変わったのか、その意図を伝えることで、会社が取り組む『ワークスタイル変革』への理解が深まることだろう。大きな改革に理念は不可欠だが、その理念を浸透させるには、「形から入る」ことも一つの手段だと言える。
またオフィスの変革には、現状の課題の把握、そのための社員へのヒアリングも欠かせない。ヒアリングを通じて、社内で取り組むべき施策も見えてくるだろう。
オフィス改革を行い、ワークスタイル変革を起こし、働き方改革へ取り組むことで企業の価値向上への第一歩としてほしい。

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