• スペシャリストの智
  • リアルな現場
  • The Watch
  • OFFICE JOURNAL
  • 不動産の税金ガイドブック
  • 民法改正のポイント
  • 空室率レポート
  • 鑑定士の視点

土地の有効活用で、企業の収益性を向上

2019.11.08

土地は固定資産税など金銭リスクを生み、さらに価格変動リスクもはらんでいる。しかし土地を活用することによって、企業の収益性を向上し、土地が持つリスクも軽減できる。今回は土地を活用するうえで考えるべき7つのポイントと10種類の活用法を解説する。土地をどうやって活用するのか考えるきっかけとして欲しい。

活用されていない土地は、そこにあるだけでリスクになる?

土地は保有しているだけで固定資産税がかかり、土地を管理するには管理コストがかかる。これらは金銭的リスクだが、きちんと管理されていない土地は、近隣トラブルの要因になることもある。

リスクとトラブルの回避、解決には土地を活用することが有用だ。まず活用できていない土地の活用方法には「借地」、「共同活用」、「自己活用」の3つが考えられる。

上記以外でもし売却すれば土地は換金され、リスクやトラブルの要因が取り除かれるので最も簡単な方法と言える。ただし買い手が見つかる保証はなく、望む価格で売却できるとも限らないことが、売却のデメリットだ。さらに、売却した場合は様々な税金がかかることも考慮しなければならない。

借地は土地を貸して地代を得る方法だ。借主が建造物を建てていると、他の用途に転用することが難しくなる。しかし初期費用がかからず長期間安定した収益が見込める。一方で、信頼できる借主を見つけることができるのかという課題もある。

共同活用には土地信託と等価交換がある。土地信託とは、信託会社と契約して土地を提供、信託受託益(配当)を得る方法だ。土地活用のプロフェッショナルに運用を任せる方法であり、信託契約終了後は土地、建物ともに自分の手元に残るため、事業を継続することもできる。ただし、土地運用で利益が出ていない場合には、配当を得られない場合もある。等価交換とは、不動産運用会社などに土地を提供し、不動産運用会社が土地の上に建物を建てて運用する方式で、完成した土地建物のうち、提供した土地に見合った持ち分を所有することになる。土地運用で得られる利益から配当や収益を得られるが、土地を自由に活用することはできなくなる。

自己活用は自分で事業を行うなど、建物や設備を貸して収入を得る方法である。土地の所有者の裁量幅が広いことが特長である。
今回は土地の活用法として「自己活用」を詳しく解説する。

土地の活用法を考えるためのポイントとは?

土地を活用するうえでは、7つのチェックポイントがあると言える。
7つとは、「収益性」、「安定性」、「税制」、「初期費用(費用負担)」、「転用性」、「土地面積」、「立地制限」である。

収益性・安定性
土地活用においては、収益(収入から費用を差し引いた結果)がプラスになるようにしなければいけない。そしてどの程度安定した収益が見込めるのかまで考慮する必要がある。

税制
土地活用の方法によっては、税制面で優遇される場合があるので調べておく必要がある。基本的に更地の場合、固定資産税は高額になる。例えば住宅(マンションなど)を建てた場合では、土地に対して、課税標準額が都市計画税で1/3(200m2まで)、固定資産税で1/6(200m2まで)となる優遇措置がある。

初期費用
土地活用を始めるにあたって最初にかかる費用。例えば、駐車場などは初期費用があまりかからないが、アパートや各種施設を建築する場合は初期費用が高くなる。

転用性
土地を他の用途に使いたいときに、転用しやすいかどうかも大切なポイントだ。事業環境の変化、景気動向の変動をはじめ、柔軟に対応できるほど、リスクは小さいと言える。

土地面積
用途によって必要な土地面積はさまざまである。土地面積によって活用方法も限られてくる。

立地制限
法律や条例で建てられる施設が制限されている地域があるので確認が必要だ。

土地活用、10の方法とは?

主に自己活用することを前提に説明する。中には専門家へ委託や、土地を貸して運営を任せるほうが現実的なものもあり、そのことついては後述する。
では、10の方法について上記の7つのチェックポイントをみてみよう。

1.賃貸不動産経営(住宅用)
ここで言う賃貸不動産経営とは、賃貸アパート・マンション・オフィスビルなどを土地に建てて家賃を収入として得る活用法である。収益性は比較的よく、安定した収益が見込める。さらに、税制面でも優遇されるという利点がある。相続税対策としても有効だ。ただし物件建築に伴う初期費用が大きく、転用性は著しく下がるので留意が必要である。

賃貸マンション経営についてはこちら
賃貸オフィス経営についてはこちら

2.駐車場
初期費用を低く抑えられ転用性も高いが、収益性は低く、宅地用の優遇税制は受けられない。
月極駐車場とコインパーキングを比較すると以下のようになる。

月極駐車場
機械の設置が不要なため初期費用が抑えられ、転用性も高い。ただしコインパーキングに比べると収益は低くなる傾向にある。

コインパーキング
月極駐車場より収益性が高くなる傾向にあるが、機械を導入する分、初期費用が高くなる。専門業者に運営を委託するという方法もある。

駐車場経営の詳細はこちら

3.高齢者向け施設
サービス付き高齢者住宅や老人ホームとして活用する方法である。この方法は補助金や税制優遇を受けられる可能性があり、高齢化による市場拡大が見込まれるので将来性もある。
ある程度広い土地でなければ活用できない点がデメリットだ。

4.医療施設
高齢化にともない医療施設の需要も大きくなり、高い収益性が期待できる。初期費用が高いのがデメリットだが、補助金を受けられる場合もある。地域への貢献度が高く、店舗や商業施設に比べて立地条件に影響されにくいのがメリットだ。

5.店舗
人通りや交通量の多い道路に面している土地であれば、コンビニエンスストアやドラッグストアの土地として活用できる。店舗運営の継続が前提のため、立地にある程度制限もある。また、自身で店舗を経営するには、競合店が現れたりするリスクもある。自社に店舗経営のノウハウがない場合には、専門家に委託することも考えられる必要がある。一般に収益性は高く、土地の面積が小さくても有効に使える。

6.ガソリンスタンド
国道沿いの道路など立地条件がよければ、ガソリンスタンド経営も視野に入る。
しかし若者の車離れなど車需要は減少傾向にあることや電気自動車の需要が今後高まることを考えると、簡単な活用方法とは言えない。またガソリンの貯蔵タンクを地下に作らなければならないなど規制が多く、万が一のガソリン漏れによる土壌汚染の不安などを考えると、将来の業態変更の際に次の借り手が見つかりづらくなる可能性もある。メリットよりデメリットが目立つ活用法だ。

7.商業施設
駅前の土地など商業施設需要がある土地で考えられる活用法である。商業施設最大のメリットは、収益性が高いことだ。ただし立地条件はかなり厳しく、活用できる土地は限られるだろう。

8.コインランドリー
コインランドリー収入で収益を得る活用法だ。初期導入費用は必要だが、管理人が常駐しなくともよいため、運営は難しくない。
ただし価格相場や環境の調査は必須で、コインランドリー稼働後も事業維持のために労力を払わなければいけない。

9.トランクルーム
トランクルームを設営して、利用料収入を得る活用法だ。近年需要が高まっており収益性も上がりつつある。初期費用が抑えられ転用性も高い。立地条件は比較的ゆるく、あまり場所を選ばない点がメリットだが、住宅地では景観を気にする向きもある。
トランクルーム運営業者に一括で借り上げてもらい地代を得る方法と、トランクルームを購入&設置して、業者に管理を委託する方法がある。

10.貸し農園
近年、郊外に畑を借りて自家農園をする首都圏在住者が増えている。初期費用がほとんどかからないことや、賃貸契約期間は5年以内で回せることから、転用性が高い活用法である。
大きな収入は望めないが、固定資産税だけを払う遊休地や建築できない土地では有効な活用法である。

以上10種類の活用法を紹介した。
なお、土地に太陽光発電機を設置する活用法もあるが、2019年、電気の固定価格買い取り制度が廃止されるため、収益性が悪くなることが明確になっている。太陽光発電をするのであれば、収益は見込まず、自家消費をおすすめする。また、太陽光発電設備への初期投資、維持管理費、更新費用などを考慮することも重要だ。

自己活用には知識も経験も求められる?

10種類の活用法を紹介したが、経営手腕や経験が問われる事業では専門家のアドバイスは必須である。
自分で運営管理することも可能だが、より現実的なのは次の3パターンである。

マスターリース/サブリース
土地の上に自前で建物を建てて、建物を事業者に一括借り上げしてもらうパターンだ。あらかじめ事業者と相談して事業にみあった建物を建設する必要がある。事業者の手数料を差し引いた賃借料を得ることができる。

事業用定期借地
土地を事業者に貸すパターンだ。建物を建てるのは事業者である。賃貸借期間中は地代の収入が得られる。

管理・運営の委託
トランクルームやコインパーキングなどで有効である。設備の準備まで含めて依頼することもある。事業者の管理運営手数料を差し引いた収益を得る。

まずは「どのように活用できるか」を不動産の専門家に相談してみることが重要だ。そのうえで、自分で運営管理するのか、専門家(事業者)に任せるのかを決めるのがよい。
その際には「専門家に土地を貸す」という選択肢も考えるべきだ。
いずれにせよ、土地の有効活用には、専門家の手助けが欠かせない。

当社から提供できるソリューションは多岐にわたります。こちらからお気軽にご相談ください。

わたしたちは、CRE戦略のプロとして移転・拠点統廃合をサポートします。 現状課題の可視化・戦略立案からアフターフォローまでおまかせください。