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新世代型都市開発とこれからの企業オフィス戦略

オープン・イノベーション・フィールドとしてこれからも進化しつづける

──あらためて、これからの丸の内はどう変化していくと思われますか。

 約束された未来があらかじめあるわけではない、街は時代や社会の変化、産業や消費の変化とともに、つねに変わっていかなければならない、というのが私の考えです。丸の内再構築にあたっては、ビジネスシーン以外に目を向け、先鞭をつけていろんなことをやってきましたが、それに安住しているわけにはいきません。つねに新しい課題が立ち現れるからです。
 例えば、ITやAI、ロボティクスというテクノロジーを取り込んで、それを丸の内エリアの発展にどう活かしていくか。私たちは丸の内を「オープン・イノベーション・フィールド」と捉え、最先端技術を活用したシステムやサービスの実証実験も積極的に導入しています。賃貸事業においても、国内外の成長企業や先端技術の活用に取り組むスタートアップ企業をターゲットとした小規模オフィスを提供したり、それらの企業間での交流活性化や大企業とのネットワーク形成を支援するなど、多様なプレーヤーの接点となるプラットフォームの構築に取り組んでいます。

谷澤 淳一氏

──最後に、企業経営者に向けた、これからのオフィス拠点選びのポイントをお聞かせください。

 やはり重要なのは、社員の方が働きたくなるような場所でしょうね。その前提にあるのはダイバーシティ、人間はひとりひとり好みが違って多様であるという考え方でしょう。身近な例で言えば、夏のクーラーの温度。男性には快適な温度でも、女性にとっては冷えすぎと感じることもある。メガプレートの広いスペースでわいわいコミュニケーションしながら働くのが好きな人も、ときには個室にこもって集中して仕事をしたいときもある。そうした多様性にどう対応していくか、単体のオフィスだけでなく、エリア全体としてその多様性にどう対応していくかが重要なポイントです。
 立派な外観のオフィス、憧れるようなブティックも大切ですが、そればかりが集まって、近所に手軽にランチが出来るような店がなければ、街区の魅力は半減します。人が息づく街には、ぶらぶら散歩していて楽しいとか、人の生活の営みが伝わるような猥雑性もまた大切な要素ですから。そうした意味での多様性を担保しながら、私たちは人と企業が可能性を感じ、進化できる街づくりをこれからも目指していきたいと思います。

【数字で見る丸の内】約28万人のオフィスワーカーの活躍の場となっている丸の内エリアに、三菱地所は約30棟の建物を所有・管理しています。
*1 上場会社(東証一部・二部)のうち、大手町・丸の内・有楽町地区に立地する本社数
*2 一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会「The Council for Area Development and
Management of Otemachi, Marunouchi, and Yurakucho 2017」より
(資料)三菱地所統合報告書2018
http://www.mec.co.jp/j/investor/irlibrary/annual/pdf/integratedreport2018.pdf より

Profile

三菱地所株式会社 代表執行役 執行役副社長

谷澤 淳一

1981年三菱地所入社。都市計画事業室長、ビルアセット開発部長、経営企画部長を経て、2014年常務執行役員(経営企画部担当)に就任、2018年4月より現職。

バックナンバー

  1. vol.23
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  2. vol.22
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    (大工舎 宏氏)
  3. vol.21
    経営者視点で見る令和時代のM&A
    (岩口 敏史氏)
  4. vol.20
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    (田中 歩氏)
  5. vol.19
    スペシャリストの智
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  6. vol.18
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  7. vol.17
    新世代型都市開発と
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    (谷澤 淳一氏)
  8. vol.16
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    新たなイノベーションを
    働き方改革を「場」の視点から再構築
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  9. vol.15
    スペシャリストの智
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  10. vol.14
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  11. vol.13
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    CREプロフェッショナルの社内育成
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  12. vol.12
    企業価値を高める
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    ワークプレイス改革
    (齋藤 敦子氏)
  13. vol.11
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    不動産の棚卸しから、
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  14. vol.10
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  15. vol.09
    スペシャリストの智
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  16. vol.08
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  17. vol.07
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  18. vol.06
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  19. vol.05
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  21. vol.03
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