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CRE戦略の最新事情。担当者の声から見えてくる企業価値の行方。

 好景気の後押しもあり企業動向の活発化を知らせるトピックスが目立ちます。経営陣の世代交代や、ITの進化がもたらす影響など、新進企業はもちろん老舗企業も、考え方を現代に合わせて変化させていく必要に迫られています。
 今、CRE戦略について企業はどのように捉えているのか。不動産を戦略的に活用するために企業はどこに着目するのか。「リアルな現場 Vol.04」では、企業の窓口として最前線で活躍する三菱地所リアルエステートサービス担当者の声から最新のCRE戦略を掘り下げていきます。

お客様のニーズで生まれた、企業不動産部

──三菱地所リアルエステートサービス企業不動産部の成り立ちと主な役割についてお聞かせください。

大塚
 当社は法人様向けの不動産仲介業を展開しておりますが、以前は上場会社等の大企業のお客様に対し、中長期的な視野で不動産活用の提案をさせていただく専門部署がありませんでした。そこで、企業における不動産経営をCRE戦略として総合的に提案することを目的に5年前に企業不動産部を立ち上げました。
 その背景には、近年CRE戦略の目的が多様化した事が挙げられます。CRE戦略という言葉が使われて10数年が経過しますが、企業経営の低迷期には、財務体質を改善する目的で保有不動産の見直しを図ることがCRE戦略と定義づけられていました。そこでは保有不動産をコアとノンコアに切り分け、企業業績に直接貢献しないノンコア資産(社員寮、グラウンド、保養所等の厚生施設等)を処分することによって経営を立て直すことが主な施策でした。
 しかしここ数年、CRE戦略は次のフェーズに入っています。企業は好調な業績を背景に潤沢な内部留保を抱え、株主からその活用方法について説明を求められるケースが多くなっています。しかし現実には、内部留保の活用としてのCRE戦略が一本化されていない、経営トップに合意できる形が整っていない、案件が担当レベルや単発で終わってしまう、5~10年といった中長期的なビジョンを描けていない、といった場合が多くあります。不動産の活用は、多くの企業にとって本業とは異なるため、企業規模が大きくなればなるほど、組織化することが難しいと言えます。
 かつてのように不動産の単純な処分だけが必要とされていた時代に比べ、お客様のニーズが多様化したために企業不動産部として組織化して提案する必要が生じてきたのです。不動産の有効活用を経営戦略の一つに位置付けるなかで、私たちは中長期にわたってお客様と寄り添い、不動産を通して問題解決のお手伝いをさせていただくことを目的としています。

企業不動産三部 大塚 裕一

──近年寄せられるご相談内容に特徴的な変化は見られますか。

大塚
 ご相談いただく内容はお客様の状況や目的、所有されている不動産の状態によって多岐にわたりますが、ノンコア資産処分の最終段階に関する事や、本業に注力するために事業所を集約したいといった動きが目立ちます。
 また最近特に注目される事としては、優秀な人材を確保していく上で、場所や環境に課題を抱えるケースが多く見られます。
手塚
 例えば、以前は郊外に建設されるケースが多かった研究開発施設でも、人材を集めるためにアクセスの良いエリアに移転したり、都心にサテライトオフィスを設けたりする事例も増えています。また、都市部に設ける事が困難な物流施設の場合でも、従業員の働きやすさを考慮して施設内にカフェや託児所を併設する例も増えており、従来の不動産への付加価値を検討する際に、従業員の働き方は重要なテーマとなっています。
 人材不足に起因して働き方改革の必要が生じている場合においても、優秀な人材確保のために意欲をかき立てるような仕掛けのあるクリエイティブオフィスや、アクセスの良いエリアに移転したいというお客様のニーズがあります。また、育児と仕事の両立等、ワークライフバランスもますます重要視されてきています。女性の視点も大切にした働きやすい環境が今求められています。

企業不動産三部 手塚 優子

齊藤
私は、お客様からのご相談を通じて経営方針や事業領域の変化によってCREの在り方も変わってきていると感じています。例えば、従来アナログな手法を取ってきたメーカー企業がITサービス事業等へ経営を方向転換し、それに対応した設備や環境を求める事が多くなっています。
 それに加え、本業に注力するためだけでなく、本業での収益を補完するための事業として不動産事業に注力するケースも近年見られる特筆すべき例です。
 私たちはそのような多様なニーズに対して、まず現在所有されている不動産の棚卸しから始めます。現在どこに不動産を所有されているのか、そしてその物件が売れるのか、どう活用できるのか、現状を分析し情報を共有します。一つ一つ物件について課題を見つけ、その課題をどのように解決するのか、企業の経営資源の最適化に導くお手伝いをさせていただいています。