働き方改革、働くことの意義や働きやすさを考える上で移転は改革推進のエンジンとなる。

プロジェクトを通して得られる新たな視点

──働き方について、女性なりの視点、時間の使い方やプライベートとのバランスについて、移転によって何を期待しますか。

萩原
 将来的にサテライトオフィスやテレワークの導入を改革のロードマップに描いています。導入されれば本社以外のどこででも業務ができるようになるので、結婚・出産・育児・介護といったライフイベントによって、働き方が変化する社員へより多くの選択肢を提供できるようになります。
 またフレックス制度はこれまで介護や育児の場合の用途に限定されていましたが、今年夏頃から全社員を対象に導入することを予定しています。特にこれからは介護を担う立場の男性も増えることが予想されるので、女性に関わらず介護離職を防ぐことの重要性は大きいと思います。

──サテライトオフィスやフレックス導入によってICTの重要性が高まります。社員へ理解を深めるために工夫したことはありますか。

打田
 社員にスマートフォンの使い方を動画配信し、誰でも理解できるように分かりやすくしました。また、配布するノートPCを3機種から選択できるようにしました。画面が大きく見やすいタイプや、軽量で持ち運びやすいタイプなど各自のワークスタイルに応じて選ぶことができます。移転後にはセミナールームで講習会を開催するなど、全社に向けてITリテラシーを上げていく継続的な努力が必要になると思います。
 セキュリティ面では移転を機にセキュリティポリシーを刷新できたのは大きいと思います。

(左から)情報開発一部 麓 和宣、業務システム部 打田 大輔

──移転プロジェクトを通して得られた新たな気づき、移転にあたり重要な視点はどのようなことでしょうか。

打田
 インフラの面では、移転を機に古いハードを捨てて、新しいPCや綺麗な会議室など、新しいものに刷新できます。しかし現場の業務はそれだけでは変わりません。新しいオフィスで働きやすさが変わったとは言え、ハードとソフト両面を業務支援していかないといけない。そういった意味で、RPA(ソフトウェアロボットによる業務の自動化や効率化に向けた取り組み)の導入によって業務の効率化も図りたいと考えています。
若佐
 移転は、従来の考え方にとらわれずに、一度に変化を起こすことができるので、非常に合理的な判断ができます。例えば働き方の見直しによって、通常なかなか踏み込めない分野である就業規則を改定するきっかけにもなりました。
 不動産業界は物件の紹介等で紙を使う文化が根強く残っているため、今後は移転を機に施策として掲げたペーパーストックレスが継続できるかが、課題であると考えています。
 今まで何度かペーパーストックレスにトライしましたが、期待するような成果がありませんでした。今回は70%削減という高い目標を掲げていますので、一度に改革を進めるには移転はよい契機になると思います。
若佐
 削減できた文書スペースにこれまで費やした賃料を考えると怖いですね。どれだけ非効率だったかと思い知らされました。しかし逆に考えれば、賃料コストについて社員自ら考えるきっかけにもなりました。無駄なコストを省き、その分を社員に有効活用できればよいと思います。
 また、限られた執務スペースの中で、備品等は在庫を多く持たずに必要なものだけ購入する発注行動を見直すきっかけにもなり、コスト削減効果も期待できます。
 オフィス移転は、これまで踏襲してきた働き方を客観的に見つめ、検証するよい機会になると思います。

──最後に、働き方改革とオフィス移転の成功の鍵は何でしょうか。

萩原
 経営者のリーダーシップと評価制度の見直し、この2点が重要です。
 労働生産性が向上したら、評価が社員に還元されるべきでしょう。従ってこれらが同時進行で行われることが成功への道筋でしょう。

──もちろん、移転による改革を継続的なものにするためには、事前のプロジェクトだけでなく移転後の変化を振り返り、検証を重ねることも重要となります。
 「リアルな現場」では、移転後数ヶ月を経た頃、実際に起こった働き方の変化と戦略的な運用を改めて紹介する誌面コンサルティングの機会を設けたいと考えています。お楽しみにお待ちください。

Profile

三菱地所リアルエステートサービス
経営企画部 次長

若佐 昌彦

移転事務局メンバーとして、各WGの運営、意志決定機関との調整、予算管理を担当。

三菱地所リアルエステートサービス
リーシングマネジメント部 課長

萩原 美穂

ワークスタイルWG兼移転事務局メンバーとして、レイアウトの検証、フリーアドレスの運用や働き方改革ロードマップ策定を担当。

三菱地所リアルエステートサービス
情報開発一部 次長

麓 和宣

ワークプレイスWGのリーダーとして、レイアウトの検証、フリーアドレスの検討、什器備品の決定を担当。

三菱地所リアルエステートサービス
業務システム部

打田 大輔

ICT情報通信WGメンバーとして、IT関連の仕様の調整及び決定を担当。

わたしたちは、CRE戦略のプロとして
新拠点構築をサポートします。
お客さま自身も気づいていない隠れたニーズや課題も発見し、
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バックナンバー
  1. vol.10
    駐車場から始まる街づくりの未来
    新会社「三菱地所パークス」が描く
    次世代の駐車場事業
    (三菱地所パークス コンサルティング本部
    平川 修一 / 荻田 健之
    三菱地所リアルエステートサービス
    経営企画部 富田 剛史)
  2. vol.09
    経年ビルを効率的にバリューアップ
    ビルが持つ個性を活かした付加価値により
    資産価値を最大化する「ビルプラス」
    (ビル受託営業部  ビルプラス営業課
    近藤一成 / 佐々木亮太 / 佐藤佑樹)
  3. vol.08
    理想のオフィスを実現するために。
    最適なソリューションをご提供する「Office Well」
    (ビル営業一部 カスタマーリレーションチーム  池田 顕治 / 長政 亮 / 東海林 翼)
  4. vol.07
    M&Aで活かす不動産
    投資助言部がご提案する
    M&Aソリューションの新たな活用手法
    (投資助言部 三好 実 / 小原 慎司)
  5. vol.05
    最新のオフィス事情から考える
    借りるニーズの多様性。
    (ビル営業部 蓮山 正志 / 小笠原 啓史 / 柴 理沙子)
  6. vol.04
    CRE戦略の最新事情。
    担当者の声から見えてくる
    企業価値の行方。
    (企業不動産部 大塚 裕一 / 齊藤 嘉久 / 手塚 優子)
  7. vol.03
    路線価から見る不動産動向。
    企業は動くべきか静観するべきか。
    (鑑定部 山中 英明/高垣 勇喜)
  8. vol.02
    働き方改革、働くことの意義や働きやすさを
    考える上で移転は改革推進のエンジンとなる。
    (本社移転プロジェクトメンバー)
  9. vol.01
    リアルな現場キックオフ!
    お客様へのトータルソリューションの体現
    (代表取締役社長 田島 穣)