賃貸オフィスマーケットレポート 虎ノ門エリア

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目次

「国際新都心・グローバルビジネスセンター」の形成を目指し、各所で再開発事業が加速した虎ノ門。
既に同地のランドマークとなっている虎ノ門ヒルズは、2023年に4棟目の大規模ビルの開業で完成を迎える。
広大な敷地面積を有する麻布台ヒルズも竣工を控えており、多様な価値と可能性を創出する国際的なビジネス拠点への躍進が期待されている。

虎ノ門で開花した日本の近代建築 工部大学校跡地

日本の近代化を急ぐ明治政府は、社会の基盤整備と殖産興業を推進する工部省の管轄で、「工部に奉職する工業士官の教育」を目的とした工部大学校を虎ノ門に設立した。当時、世界でも珍しい実学重視の高等教育機関で、各分野のお雇い外国人が教鞭を取り日本の若者に世界基準の知識を授けることになる。建築教育の中心を担ったのは、ロンドン大学などで建築を学び将来を嘱望されていた弱冠25歳のジョサイア・コンドル。彼に学んだ後の巨匠には辰野金吾(東京駅)、片山東熊(迎賓館)、佐立七次郎(日本水準原点標庫)、 曽禰達蔵(三菱丸の内ビル街)、渡辺譲(初代帝国ホテル)、久留正道(旧帝国図書館)らがおり、日本の近代建築はここ虎ノ門から大きく前進した。

『東京名勝開化真景 虎門工学局』港区立郷土歴史館所蔵
『東京名勝開化真景 虎門工学局』
港区立郷土歴史館所蔵

再開発事業の竣工ラッシュで
さらに好条件な立地へ

虎ノ門駅から神谷町駅周辺まで、南北にはしる桜田通りを中心に広がる虎ノ門エリア。サラリーマンの聖地と呼ばれる新橋、マスメディアやクリエイティブ系、IT系の企業が集う赤坂や六本木、港区を代表する高級住宅街の麻布、そして官公庁街である霞が関が隣接する。多様なエリアに囲まれており、ビジネス拠点として高い可能性を有する場所である。
2010年代までの虎ノ門はレトロな貸店舗や賃貸オフィス、マンションなど、中小規模の建物が集まる場所であった。まちの姿を変えたのは、2014年の「虎ノ門ヒルズ森タワー」の開業である。地上52階建て・高さ247mの 超高層複合タワーは、環状2号線と一体的に建設されたことでも話題を集めた。それ以降、小さなビル群を巨大施設へと進化させる再開発事業がいくつも竣工。現在も2023年の開業を予定する複数のプロジェクトが進行中で、新しい虎ノ門の完成は大詰めを迎えている。

世界的な企業も入居する
都心の新しい国際拠点

官公庁街に隣接し、近くに大使館も多い虎ノ門は元々、外資系企業に人気の高い場所である。海外の駐在員は家族と一緒に転勤するケースが多く、職住近接のライフスタイルを求める傾向にある。4棟の大規模ビル(森タワー、ビジネスタワー、レジデンシャルタワー、ステーションタワー)を有する虎ノ門ヒルズは、全体で約700戸以上の住宅を設け、そのニーズへの対応と大丸有や八重洲などと異なる地域の個性を際立たせた。外資系企業には、米国IT大手5社GAFAMの一角であるMeta(旧Facebook)が2020年にビジネスタワーに移転。その他、ゴールドマンサックスやドイツ銀行が移転を予定するなど情報通信系や金融系が目立つ。
虎ノ門ヒルズの4棟のうち最後に竣工するステーションタワーは、地上49階建て高さ約266mで虎ノ門ヒルズ駅と一体的に開発されている。基準階は約1,000坪のオフィスを備え、最上階には多様なビジネスイベントに対応する多機能複合施設が開設。また、駅広場と一体となった商業施設や国際水準のホテルも整備されている。さらに虎ノ門ヒルズ駅と虎ノ門駅をつなぐ地下通路の新設により、ヒルズ同士のアクセスが容易となり新たな人の流れの創出が期待される。
2023年には虎ノ門南エリアでも、8.1haの広大な敷地面積、オフィス総延床面積約86万㎡、住宅戸数約1,400戸、就業者数約2万人収容の麻布台ヒルズが竣工する。赤坂のアークヒルズと六本木ヒルズ、そして虎ノ門ヒルズの中間に位置する新しいまちが港区の真ん中に新たな経済・文化圏を創出する。

ビジネスと暮らしの
両方の豊かさを満たすまち

港区のまちづくりガイドラインでは虎ノ門について、国際的なビジネス拠点を形成しつつ緑と歴史を感じられる職住近接の複合市街地を目指すと記している。まちづくりを進める上で、一つのテーマとなっているのが脱炭素を意識した「歩ける緑化都市」である。駅周辺などの要所では地下、地上、デッキと立体的な歩行者道路を整備。地上では緑道や広場などでまち全体を連続的な緑のネットワークで結ぶ。また、環境負荷の少ない移動手段として、BRTや次世代モビリティ、自転車シェアリングなどの利用促進の環境整備も進められている。便利さと快適さに加えて人や地球に対する豊かさも設計図に描いた新しい虎ノ門は、独自性を持った魅力ある国際的なまちへの発展が期待される。

※走行空間、車両、運行管理等に様々な工夫を施すことで、従来のバスよりも高度な性能を発揮し、他の交通機関との接続性を高めるなど利用者に高い利便性を提供する次世代のバスシステム。

重層的な歩行者ネットワークのイメージ
重層的な歩行者ネットワークのイメージ
画像提供:港区役所

移転視点

  1. 多様なビジネスエリアと隣接する好立地
  2. 外資系企業の入居が多い国際的なエリア
  3. 虎ノ門ヒルズ駅の開業など都心各所への交通利便性が高い
  4. 話題の再開発事業がエリア内で次々と竣工を迎え活気にあふれる
  5. 環境配慮や防災意識の高い施設整備・まちづくりが進む

ビジネスマップ

大型再開発事業の竣工を各所で控え、国際的なビジネス拠点として新たなステージの幕開けを迎える同エリアは、まちが変化する活気に包まれている。

  • 竣工予定プロジェクト
  • 竣工済みプロジェクト
マップ

竣工予定プロジェクト

  • 麻布台ヒルズ 森JPタワー
    竣工:2023年7月
  • 虎ノ門一丁目東地区
    第一種市街地再開発事業
    竣工:2026年

竣工済みプロジェクト

  • 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー
    竣工:2020年1月
  • 気象庁・港区立教育センター
    竣工:2020年2月
  • 神谷町トラストタワー
    竣工:2020年3月
  • T-LITE
    竣工:2022年3月
  • 日比谷FORT TOWER
    竣工:2021年6月
  • 東京虎ノ門グローバルスクエア
    竣工:2020年6月
  • 京阪神 虎ノ門ビル
    竣工:2020年11月
  • 大和地所レジデンス 虎ノ門ビル
    竣工:2023年1月

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環境負荷の低減を組み込む最新の都市再生モデル虎ノ門ヒルズ ステーションタワー

2023年7月竣工予定

地上49階/地下4階

事務所、店舗、ホテル 等

「国際新都心・グローバルビジネスセンター」へと拡大・進化を続ける虎ノ門ヒルズエリアの中央に位置し、虎ノ門ヒルズ駅と一体的に開発される複合タワー。駅直結の開放的な広場に加えて、桜田通り上の歩行者デッキと一体整備することで、重層的な歩行者ネットワークを実現するだけでなく、エリアの賑わい創出にも貢献する。また、環境負荷の低減も当プロジェクトの大きなテーマで、躯体建設段階における「環境負荷の見える化や低減」をはじめ、「入居テナントと協働して省エネに取り組む仕組みやシステム」や「再エネ電力の供給計画」など、国際基準を意識した取り組みが予定されている。

虎ノ門ヒルズ ステーションタワーのイメージ画像
画像提供:森ビル株式会社

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都市環境や防災も意識した国際ビジネス拠点T-2 Project (虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業 業務棟)

2025年2月竣工予定

地上38階/地下2階

事務所、店舗 等

2019年に隣地に移転した虎の門病院の跡地。地上38階、地下2階、延床面積約186,000㎡の大規模ビルで、総貸床面積は約73,000㎡が計画されている。基準階は1,000坪超の整形無柱空間とし、災害時には中圧ガス停止時にも168時間の電力供給が可能な高いBCP性能を確保。また、街区を一体的に再開発しており、オフィスビル周辺を通る緑地の設置や歩行者ネットワークの充実、災害時の帰宅困難者などの受け入れ体制構築など、都市環境や都市防災機能の向上が図られる。低層部の飲食店舗のほか、シェアオフィス・カンファレンス・フィットネス・コンシェルジュ・テナント専用ラウンジといったワーカーサポートも整備される予定。

T-2 Projectのイメージ画像
画像提供:日鉄興和不動産株式会社
※完成予想図は現時点でのイメージであり、
今後変更となる可能性があります。

※本記事の内容は2023年2月時点のものです。

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