ダンコンサルティング 寄稿コラム 第3回 不動産有効活用パターン図の具体例

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目次

第2回において、不動産所有者からみた不動産活用法のパターン図を掲載しました。大別すると、①狭義の有効活用、②現状維持・Re-ビジネス、③売却・交換・買換え、④定期借地の4つのパターンに分類できます。第3回はこの4つのパターンの内容をより詳細で具体的に解説していきます。

狭義の不動産有効活用

「狭義の不動産有効活用」とは、その敷地の上で施設を建築し、ある一定期間において一定の収益を上げていくという戦略のことです。
この収益事業はさらに2つのパターンに分けられます。一つは、土地の所有者自らが事業を営んでいく「自社(自己)活用法」であり、もう一つは第三者にその施設を賃貸して収益を上げていくという「不動産賃貸手法」です。簡単にいえば、その不動産の持っているポテンシャルを中・長期的に引き出していこうとする戦略です。
そこで、「所有している不動産(土地)を使って中・長期的にどのような事業を行うか」という狭義の有効活用の手法を分解してみましょう。

自社(自己)活用法

土地所有者が、自らその土地の上で事業を行うという自社(自己)活用法には直接収益事業と間接収益事業があります。
直接収益事業とは、不動産は事業を行うにあたって必要な要素ではあるものの、不動産が直接的に収益を生み出すものではありません。
この直接収益事業は、さらに単独自営事業とFC加盟事業の2つに分解できます。
①単独自営事業とは、その企業特有の独立事業のことで、たとえば、企業としては長期的に育成させたい新規事業があり、人材には多少の余力があるといったケースや、暫定的に考えている事業があるが投下資本は抑えたいというケースなど、企業や個人の未来戦略がベースとなって生まれてくるものです。活用しきれていない、あるいは、遊休となっている不動産を、新規事業の敷地として利用することで次の時代への足掛かりを構築しておきたいというわけです。この場合は、「まず事業ありき」がスタートになります。
一方、一から立ち上げていくには時間やコストがかかりすぎる、あるいは、ノウハウがない、流通ルートもこれから開拓していくといったケースなら、②FC(フランチャイズチェーン)に加盟して自ら事業を展開するケースもあります。遊休不動産の立地を考えて余力の人材や一定の資金を投下することは可能だが、ノウハウなどが不足しているケースや時間的に余裕がないといったようなケースでは、ゼロから生み出す事業よりは成功率は高まります。
最近では複数のFCに加盟して大型化しているケースも生じていますが、業種の選択以上に重要なのはFC本部の選択と言えます。
いずれにしても、新しく事業を展開するために経営資源として所有している不動産を率先して上手に利用するという手法と言えるでしょう。
間接収益事業のケースで最も典型的なのが本社活用(つまり自社ビル)と言えます。同じ意味で、支店、営業所、さらに工場、研究所、あるいは、社員寮や保養所などもこのパターンと言えます。個人所有の場合なら自宅や倉庫などが該当します。
その不動産に店舗を出店し、収益を生み出すというより、収益を生み出すための間接的(支援的)な施設としての活用ということです。いずれも、自社が自社のために不動産を活用するという手法です。したがって、業績低迷期や不況期などではこうした不動産は売却したりスモール化したりして資金を生み出すことは日常的に行われています。リスクマネジメント戦略の一環としての不動産活用とも言えるでしょう。

不動産賃貸手法

狭義の不動産活用の二つ目は不動産賃貸事業です。賃貸ビルや賃貸マンションといったオーソドックスな有効活用はこのケースに該当します。これは、第三者に経営資源としての不動産を賃貸することで不動産から直接収益を生み出そうとする方法です。
この不動産賃貸事業は、さらに、一般賃貸、特定賃貸、複合賃貸という3つのタイプに分類できます。
③一般賃貸事業とは、オフィスビルや商業ビル、あるいは賃貸マンションやアパート、さらには貸倉庫事業などに代表されるように、建物を建設してその建物に合う不特定多数のテナントに貸し出すという古くからある手法です。
一方、④特定賃貸事業とは、ロードサイドレストランやホームセンター、あるいはホテル、コンビニエンスショップ、スポーツクラブ、アミューズメント施設や社員寮などのように、あらかじめ特定のテナントを決定してからそのテナント仕様の建物を建てていくという手法です。
最近ではオフィスビルや賃貸マンションが一棟貸しや社宅・寮、さらにはケアハウスなどに使われ始めています。つまり、本来、一般賃貸型の事業が特定のテナント向けに賃貸されるケースが生まれているため、厳密な意味の区分けが難しくなりだしています。

集客力アップには工夫が必要

⑤の複合賃貸事業とは、単独テナントではなく、複数テナントをどのようにテナントミックスしていくかという点が重要になります。
基本的には特定賃貸の一種と考えても良いのですが、最近の活用パターンでは欠かせない手法になってきました。
複合化を図る場合に注意しておくことは、地域やライフスタイル、あるいは趣味や年齢層などに応じてターゲットを絞り込むなどして、相乗効果が期待できるものにするということです。
単にいくつかの施設を寄せ集めただけのものは、土地利用の細分化に過ぎません。それぞれが商圏を広げるなりして、単独の施設よりも集客や売り上げをアップさせてこそが「真の複合化」と言えます。
そのためには、図表①テナントミックスの考え方と図表②テナントニーズの判断材料が重要です。年齢で区切るなら、飲食・物販・サービス(エンターティメント)という3業種を上手に組み合わせることで相乗効果を生みだしていくというわけです。
これには、同業種型と異業種型が存在し、さらに都心型と郊外型のタイプとして縦型と横型に分類できます。異業種型とは、サービス業を軸とした業種の組み合わせであり、同業種型とは飲食業の集合体や医療モールなどの複合ビジネスが該当します。
同業種の組み合わせでも、たとえば、「医」と「子供」にターゲットを絞ると、小児科・産婦人科・小児歯科・内科・外科といった診療所設置の組み合わせが考えられます。
いずれにしても、地域・周辺・立地を基準にした事業を想定し、そのテナントの顧客開拓が期待できるビジネスモデル(マトリックスで考えると2つの組み合わせの考え方が重要)を生み出していくということです。
大まかに分ければ、自己活用における直接収益事業は「高収益や本格的な新規事業」を指向し、不動産賃貸業は「安定収益」を指向するという分類ができます。また、図を見ればわかるように、はっきりと形態が分かれる事業もあれば重複している事業もあります。特に、自己利用の直接収益事業と不動産賃貸業の特定賃貸の違いは事業主体であって、そこで行われる事業自体は基本的に同じであると言えるでしょう。

図表① テナントミックスの考え方

条件の分類内容
業種条件あらかじめ業種の指定があるか
テナント条件あらかじめテナントの指定があるか
収益条件賃料・投資額などの希望はあるか
イメージ条件トレンディか定番か、高級化か一般化か
敷地・施設条件敷地の面積・地形・接道状況・施設の面積構成
ターゲット条件老・若・男・女、収入の高低、顧客対象はどこか
運営条件誰がどの部分をどのような形態で運営するか

図表② テナントニーズの判断材料

  1. 高級化⇔大衆化
  2. 個別化⇔一般化
  3. シニア層⇔ジュニア層
  4. 男性向⇔女性向
  5. 大面積⇔小面積(使用面積)
  6. 高賃料⇔低賃料(契約面積)
  7. 顧客密度大⇔顧客密度小
  8. 利便性大⇔利便性小

企画賃貸とは需要創造ビジネス

自己活用法と不動産賃貸事業の他に、最近は⑥企画賃貸事業という手法も誕生しています。
企画賃貸事業とは、時代が要求している典型的な需要創造型ビジネスと言ってもよいでしょう。この企画賃貸事業には、現状では次のような6つの手法が生まれています。

イ)使用料ビジネス
ロ)時間帯ビジネス
ハ)付加価値ビジネス
ニ)専門特化ビジネス
ホ)利便性ビジネス
ヘ)シェアビジネス

イ)の使用料ビジネスの代表は、従来からある貸駐車場ビジネスで、月極契約以外は時間で料金が設定されています。最近では、ウィークリーやマンスリーマンション、ショールーム、レンタル会議室、レンタルオフィスなどのように、借家権や営業権などが発生しないビジネス形態はほとんどが使用料ビジネスと言えます。借り手からの支出が固定費としての家賃ではなく、変動費的な使用料としての性格を有する仕組みを構築していることが特徴です。
ロ)の時間帯ビジネスは、二毛作型ビジネスモデルのことです。一つの立地を時間帯に応じて違う用途として活用していくという手法です。かつてのキリンビールが生み出したジラフのように、朝から夕方まではカフェ、夕方からはビアパブ、21時からはワンショットバーという三毛作もあります。
基本は利用時間を細分化して顧客の需要に応じて空間の稼働率を上げていく戦略です。時間帯ビジネスは、時間分の使用料でもあるため、使用料ビジネスの一種とも言えるでしょう。
朝の6時から昼の2時までを立ち食いソバ屋、夕方の4時から夜半までを寿司屋に賃貸しているケースなど、立地と時間に応じた需要を意識した組み合わせを構築することも可能になります。時間を小単位で切り分けるビジネスはクイックマッサージや理髪店のQBハウスなどにも見られますが、これらは時代の要請と言っても過言ではありません。

時代を視ることが付加価値を高める

ハ)の付加価値ビジネスとは、単に賃貸するのではなく、何らかの付加を与えることで相対的コストを引き下げていくというビジネスモデルです。秘書サービス付きオフィス、インキュベーションオフィス、事務代行・総務代行オフィスなどは、全てが「賃料+付加サービス」をセットで提案することで別々に支払うコストの合計より安くなるという組み合わせといえます。
命名権ビジネスのように、ビルのネーミングごと賃貸してしまう(たとえば、ビルの一括貸しを考えるなら、そのビルの名称も借り手の社名にすることで借りやすくするなど)などもその一つのタイプといえます。
ニ)の専門特化ビジネスは、入居者(テナント)を特定することでビルやマンションに統一性を持たせ、入居者のイメージアップにつなげようとする戦略です。横浜ラーメン博物館などは特殊な例ですが、医療モールや専門家ビル、あるいは低価格ショップの集合ビル、女子学生寮、社員寮、ペットマンションなどというのもこの一種と言えるでしょう。
ホ)の利便性ビジネスは、時代の要請に応えていくことが事業の切り口になっています。たとえば、近隣のビルやマンションのテナントにも対象を広げたトランクルーム充実型マンション、認定こども園など認可保育園付マンション、ネット系とリアル系を使い分けするためのレンタルショーケースなども利便性がキーになっています。
ヘ)のシェアビジネスとは、小規模企業が提携しやすいシェアオフィスなど、一種の場所貸し的な使用料ビジネスでもあります。

現状維持

現状維持はポテンシャルの上昇を待つ作戦

「不動産事業は長期的な視点で考えるもの」と言われてきました。これは今も変わりません。ただ、これまでの長期的視点は投資額が大きく減価償却期間が長いといった面から語られていることが多かったようです。今後は、建物単体ではなく経済動向や周辺環境の変化など、より総合的な視野が求められることに注意しておかなければなりません。
とりわけ、現在のように不透明感が漂っているような時期には、すぐにビルなど堅固な建物を建築してしまうことが必ずしも最良の選択とは限りません。さらに、建物本体は70~100年くらいは持つにしても、現在のような技術革新のテンポが続けば機能的には10~20年程度しか持たないということも考えられるということです。
現状維持を選択する場合はこれからの保有コストの上昇などを考慮しておく必要があります。収益力は悪いが、当面の取り壊しコストの負担や新規事業の展望が不透明なケースでは現状維持が最善の策になるでしょう。
したがって、どのくらいの期間を見据えて事業を考えるかが重要な要素となってくるのです。
将来的には本格的な開発の必要があるが、現状では投資をしても採算に合うだけの事業がない、あるいは投資を行う余力がないといった場合には、暫定的な利用方法を考えざるを得なくなります。その代表格としては、駐車場や住宅展示場、ゴルフ練習場などが挙げられるでしょう。
事業そのものが暫定利用に適しているものではなくても、投資額を抑え、短期間で収益の上がるビジネスに仕立てるという選択もあるということです。
たとえば、既存の建物をそのまま、あるいは簡単なリニューアル程度で活用するという方法があります。一時は全国的にブームの様相を呈した倉庫を利用したレストランやイベントスペースなどはその典型的な例と言えます。同様に、仮設建築物など新しく建てるにしてもローコストですむものにする、という例も増えています。これらは「現状維持」という有効活用法です。
様々な視点や角度から考えてみて、現状のまましばらく凍結しておくことがベストであるという選択肢が成り立つケースもあるからです。

もう一つはRe-ビジネスの展開(つまりは建物の再活用)です。利用方法を変えたり、テナントミックスを大幅にシフトしたり、外装や内装を変更したりして、新たなビジネスの仕組みに作り替えていくということです。最近流行りのコンバージョンなどもその一形態です。このケースは土地の有効活用ではなく、当面は建物の有効活用であり、その結果が土地の有効活用になるというわけです。

仮設ビジネスで気を付けておきたいのは、事業計画シミュレーションです。あくまでも仮設のため、比較的短期で投下資本を回収しなくてはなりません。金融機関からの借り入れなら長くても5年程度で完済できるかどうかをチェックするためにROIの検証が必要になってきます。そのため、仮設ビジネスとして一時的な活用を考える場合には次の3つを意識しておくことが望まれるのです。

  1. ローコスト(投資)
  2. ローリスク(資金)
  3. シナジー効果(収益)

ローコストとは、仮設材に代表される素材の吟味以外に用途変更や取り崩し、あるいは移動が簡単であり、登記等のコストがほとんどかからないことなども検討しておく必要があります。
二つ目のローリスクとは、その事業の損益分岐点(BEP)が非常に低い ―― つまり、少しの売上で利益が生まれる ―― ということが大前提となります。
最後のシナジー効果とは、その事業を行うことで本業など、自社の他の分野への波及効果を得られるということです。企業のイメージアップだけではなく、商品やサービスなど、本業やサイドビジネスへの波及効果がどのぐらい予想できるかを数値で表して収益力を検討していくというわけです。
いずれにしても、現状維持は、簡単にいえば、「不動産のポテンシャルが上がるのを待つ」という戦略だといえるでしょう。

売却

売却も戦略思考の一つ

CRE戦略の一つとして考えておかなければならないのは、「売却」手法です。
「売却」という選択肢は、さらに「売却して資金化」「買換えして事業化」「交換して事業化」の大きく3パターンに分類されます。これらも所有者要因から導き出される手法ですが、資金化のケースはさらに、既存債務の返済に充てるタイプと資金化して有効活用を図るタイプに分かれます。
不況期においては債務返済の原資に充当するケースが多く見られますが、事前に資金化して将来の危機に対応できるようなリスクヘッジコストを準備するといったケースも増えてきています。簡単に言えば、余剰資金の確保を行うということであり、借入債務というレバレッジ効果が少ない範囲で事業を進める方式です。
立地と事業のバランスがミスマッチをしているケースでは、事業を優先させるなら土地を売却すべきであり、立地を優先させるなら事業を転換することが戦略としては正しいでしょう。
もちろん、売却した後の戦略は様々です。売却して資金化して借入金の返済を優先するのか、売却して得た資金で新規の事業を開始するのか、あるいは固定費や人件費圧縮の清算コストに活用するのかなど、不動産を資金にシフトした後の戦略が定まっていなければなりません。
また、単に売却するのではなく、収益性の低いビルをマンションに変えてバリューアップしてから転売するなどもこの手法の一つといえます。
欠損金の多い関連会社に建物だけを売却し、その後借地権を設定(借地権の受贈益を無税で受ける)することで、関連会社の収益力向上に役立てるという売却も考えられます。
また、含み益の多い不動産だけを所有している会社の場合には、会社が不動産を売却するのではなく、その会社の株主がその株式を売却するというM&A方式なども不動産売却手法の一形態です。

税法を活用する買換えや交換

さらに買換えや交換なども売却パターンの一種です。現在所有している不動産を処分することが売却手法を考える切り口となるからです。買換えや交換は、この立地より自社が考えている事業に向いた立地へ変更するための手法の一形態です。
税法の買換え制度や交換制度を活用するのも売却の一種です。つまり、所有していた土地を処分してしまうという点では、売却と同じであると考えられるからです。
買換えや交換いずれも、基本的には既存の事業を継続するという方向にあるといえます。旅館業を営んでいた土地を売却してテニス練習場へシフトしたり、都心の工場を売却して郊外で飲食とコンビニエンスストアの複合ショップを展開したりするという大胆なケースもまれに存在します。ただ大半は、既存事業の引き継ぎのための買換えや交換の活用といえます。
なぜならば、事業活動は時代の流れという社会環境と、立地という自然環境の2つの外部環境にフィットしていなければならないからです。事業が成立しにくいということは、少なくとも社会環境か自然環境のどちらかがミスマッチを起こしているはずです。
立地にマイナスが発生しているのなら、事業を継続するためには売却して立地をシフトするという選択になるのは当然と言えます。リスク時代における不動産の活用手法は明確な目的(何のために)や方針、時代の潮流の把握、専門性、再活用、ローコストなどの考え方や仕組みが中心になってくるのです。
交換でよく利用されるのが借地権と底地権の交換です。借地権者も底地権者も現状の所有形態や活用手法のままでは、人口の減少 ―― つまり、利用する人や企業の減少 ―― の社会においては、互いに負動産となりかねません。よって、借地権と底地権を互いに一部交換することで完全所有権化するといった権利解消、あるいは一緒に第三者への売却など、対策を講じておかないと不動産価値は低いままで推移するでしょう。

定期借地

定期借地活用の考え方

最後に「定期借地」という選択肢があります。一定期間だけ土地の活用を他者に認めるが、期限が来ると再び土地所有者の手元に戻ってくるという活用法が定期借地ビジネスによる手法です。
自らが何らかの事業を営むことは出来ないが、かといって処分することも躊躇してしまう。単に貸し出してしまうと将来その土地を取り戻すことも難しい、といったことを解決出来るのが定期借地権ビジネスです。当分の間は他者に利用権を与えるが、将来は再び自社で活用法を決められるため、使い勝手が良いといえます。
この定期借地権ビジネスは、借地借家法上では図表③のように3つに分類されています。

図表③ 3つの定期借地権の相違点

一般定期借地権 建物譲渡
特約付借地権
事業用定期借地権
存続期間 50年以上 30年以上 10年以上30年未満 30年以上50年未満
利用目的 なし なし 事業用限定(居住用×)
契約書式 公正証書又は
電磁的記録
不要 必ず公正証書
終了事由 期間満了 建物譲渡 期間満了
契約更新、
終了時の建物とその利用
関係等
以下の特約が可能
①更新しない
②建物再築に伴う存続期間の延長をしない
③建物買取請求権を行使しない
①建物所有者は、譲渡により土地所有者に移転
②借地権者が使用していれば借家関係に移行
①更新不可
②建物再築に伴う存続期間の延長不可
③建物買取請求は不可
以下の特約が可能
①更新しない
②建物再築に伴う存続期間の延長をしない
③建物買取請求権を行使しない
根拠条文 借地借家法 第22条 借地借家法 第24条 借地借家法 第23条

3つの共通項は、法定更新の制度等に関する規定の適用がなく、契約期間の到来によって確実に権利関係が終了するということです。
定期借地権制度の創設により、土地の所有者だけではなく土地を所有しない企業も、土地活用ができることになった点が最大のキーといえます。まさに土地の所有と経営の分離がこの定期借地権制度によって確立されたということです。
不動産所有企業が不動産を戦略的に活用する場合には、こうした様々なパターンをしっかり確認して、自社の対応法を定めていくことが望まれます。

執筆者

ダンコンサルティング株式会社 代表取締役
経営戦略コンサルタント(税理士)・建築企画プロデューサー

塩見 哲 しおみ さとし

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公認会計士事務所を経て、1976年に税理士資格を武器として中小企業経営戦略コンサルタントとして独立。以後、48年にわたり中小企業の目的である「継続」をテーマとして、企業哲学、理念、風土を軸とした経営戦略の立案や企業診断・再生支援・出店企画・資金戦略・人材教育など、経営資源の活性化に関する戦略的コンサルティング業務を一貫して行っている。同時に、法人や個人の所有する不動産の有効活用法や建築企画プロデュース業務、及び、法人や個人の事業継承や相続戦略なども40年以上実践している。 講演、講義、研修講師などは2,000回を超え、経営、資金、不動産、相続、人材などに関する著書は63冊を出版している。

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