企業の多角化戦略を支援する不動産賃貸事業

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目次

コア事業の下支えとしての安定収益源の確保、経営リスク回避・分散、事業ポートフォリオの再構築などを目的とした施策として、一般法人が不動産賃貸事業を開始する際、事業主の視点で中長期的なプランニングを支援するパートナーの存在が重要になります。三菱地所リアルエステートサービスの「賃貸事業立上げ支援ソリューション」は、豊富な実績をベースにワンストップで柔軟、迅速に対応することで、企業価値を向上させる企業不動産戦略(CRE戦略)を構築します。課題解決力の違いが際立つソリューションを展開しているメンバーが、現場からの声をお届けいたします。

賃貸事業立上げ支援ソリューションがスタートした経緯

楠木 これまでも社会や経済など外部環境の変化に対応すべく、法人の皆様は各々対策を講じていらっしゃいましたが、昨今のコロナ禍ではニューノーマルという新たな常態が浸透するなど、産業構造のパラダイムシフトが起こり自社の事業戦略の見直しや事業基盤の再編を喫緊の課題とされた業種業態のお客様が多くなりました。
例えば、本業の収益が減少した場合でも、保有する収益不動産からの賃料収入が見込めれば、本業でのマイナスを一部補うことができ、経営に与えるインパクトを抑えることが可能です。また、このパラダイムシフト下でチャンスを生かせた成長産業においても、将来のリスクに備えるために内部留保の活用や収益基盤の安定化、財務強化といった施策の検討は企業が安定して成長するうえで必要な手段となっています。
これらの変化やお客様とのコミュニケーションを重ねた結果、企業不動産戦略や不動産の有効活用の一環として不動産賃貸事業の立上げを当社が支援させていただくことが、お客様の経営課題の解決策の一つになり得ると考え、本ソリューションの開始に至りました。

添田 不動産賃貸事業は、他の業種業態と比較しても収益の安定性が高いと言えます。景気変動によって多少の動きはあっても、日常生活や経済活動の基盤としての根本的な需要が常在するので、収入が即座にゼロになることはあまりありません。一方で、景気が良いときも既に入居中の区画の賃料は決まっているため、収益の上振れも小さくなります。
私たちはマーケットにおける稼働率の好不調の波やエリア毎の振れ幅を過去の経験則から予測しており、エリアにおける人口動態に多少変化の可能性があったとしても、他と比較して競争優位性があって差別化がなされている限り、その不動産から得られる収益が極端に低下することはなく、良くも悪くもボラティリティが低いのが不動産賃貸事業だと考えます。

マーケティング部 ソリューション開発室 兼 営業推進一課 参事 楠木 崇嗣

楠木 実際に出版印刷、メーカー、アパレル、百貨店、運送業といった業界の中には、この10 年位で不動産賃貸事業に置く比重を高めている会社も増えてきています。一つの事業に特化するのではなく、本業に加えて賃貸事業と併せて収益基盤を複数持つ多角化経営の方針を採用する傾向が高まっています。
コロナ禍以前からも様々な社会変化によって機運が高まってきていたこの傾向は、今回のコロナ禍によっても更に加速した印象を受けています。変化することに強い抵抗感を抱きがちな日本企業においても、社会の変遷に直面し柔軟に適応することで、経営リスクを低減しようと不動産賃貸事業立上げを検討されるお客様が増えています。

様々な業種業態による賃貸事業立上げのケース

賃貸事業グループ 住宅運営部 二課長 中村 健太

中村 お客様の例を挙げると、運送業を営む法人様より、配送所や支店事務所の統廃合によって余剰になった不動産の活用方法についてご相談を受ける機会がありました。物流を担う運送会社はまとまった面積の設備拠点を複数持ち、課題に対して企業不動産戦略が身近にある背景があったため、三菱地所グループとして検討を進める流れになりました。
ラストワンマイルに立地するエリア集配所は都心にも散在しており、当社のマーケット調査でマンションやオフィスビル経営が成立すると判断すれば、積極的にご提案をしてまいりました。現在では関東及び関西で賃貸マンションを複数棟運営、更にご所有の老朽化した支店・配送所の建替え検討を行う等、戦略的に企業不動産の有効活用を進められています。
次に、新聞や雑誌、紙卸し等の出版印刷業を営む法人様の例では、ペーパーレス化などの社会的構造の変化によって操業インフラのスケールダウンが急速に進んだため、事業用不動産の売却益を原資として、不動産賃貸事業を始めた経緯がございます。金融資産の運用は収益のボラティリティが高く不安なので、安定的に収益化できる不動産賃貸事業を選択されるケースは多いです。
また、企業が保有する寮・社宅をマンションに建て替える事例も増加しています。都内にあるメーカー様は埼玉県に社宅を保有していますが、郊外に存しており利用者が少なくなったため、一棟は一部の住戸を社宅として利用しながら大部分を賃貸マンションとして活用されており、もう一棟の社宅は老朽化が進み現状のまま活用することが難しいので賃貸マンションへの建替え計画を進めているところです。

楠木 繊維問屋街のある日本橋馬喰町近辺は古くから本社ビルを保有している老舗企業がいらっしゃいますが、本業の業績悪化により優良資産の売却に至ったケースがあります。そのような優良資産の多くは、不動産事業者により賃貸マンションやホテルとして開発されています。立地から見れば、不動産賃貸事業への転換や収益源の確保に十分有効活用できる余地があるにもかかわらず、その資産価値を正しく評価できておらず事業機会の可能性に気付けていないと言えますが、こうした選択肢が採れないのは、ご所有の不動産に関して相談できる相手がいなかったからといった理由が多いです。
このように不動産が本来持っているポテンシャルを十分に発揮できていない、また本業に特化しているため本業の使用価値でしか判断できず、保有する不動産の潜在的課題に気づかないといった問題に対し、我々は課題解決の気付きや収益源に繋げる事業提案をさせていただきたいと考えます。

企業不動産の潜在的価値・課題を見つける地所リアルの提案プロセス

賃貸事業グループ ビル受託営業部 次長 一課長兼務 添田 滋一郎

添田 ご相談内容やタイミングは案件によって様々です。既に建替えが決定した段階でご相談いただく場合もあれば、全く白紙の状態や、別の物件の話をする中で始まった案件もあります。当社は、売買、賃貸管理、鑑定、駐車場運営など複数のサービスをワンストップでご提供できますので、どのような段階でも様々なサービスを用いご提案を行います。
主な提案内容としては、お客様の事業環境・事業戦略や課題を確認・整理したうえで、対象となる不動産の資産評価や活用バリエーション検証、それら各バリエーションにおいて賃貸事業を実施する場合の収支シミュレーションを行うことで不動産視点だけに限らず、お客様にとっての最適解を導き出します。お客様の立場で優先順位や具体的な事業性を見定めたうえで、継続保有して有効活用するのが最適であれば建替えやリニューアルのご提案を行います。一方で事業性が低いようであれば資産の組み替えを目的とした不動産の売却と候補となる新たな不動産の購入についてもご提案をさせていただきます。
例えば、築30年の自社ビルの事例では、お話をいただいた段階でメンテナンス不足による躯体の傷みがあり、またエレベータ等大きな設備の更新時期も迫っていました。そこで、余剰スペースで賃料収入を得て自社ビルの修繕に必要なコストを回収する解決方法をご提案し採用いただきました。
また、築年数の経過によりハード・ソフト面で老朽化が進んでいる場合でも、立地が優れ競争力を上げる余地のある物件に対しては、当社の「ビルプラス※」を活用いただくことでオフィスビルをバリューアップし、空室が埋まり稼働率が向上した事例もございます。また、マンションはオフィスよりも一般的に賃料の振れ幅が小さいので、より安定性を求めるお客様にはエリアによってはマンションへ転用するなど、お客様のご意向を最大限に尊重しながら、長期的な視点でお客様にメリットのあるご提案を行います。

※「ビルプラス」について詳しくはこちらをご覧ください。

楠木 築浅物件の場合は、リーシングマネジメントやプロパティマネジメントのご提案をさせていただくケースがあります。賃料査定を行い、マーケットにおける賃料水準と乖離があれば、賃料の値上げやテナントの客付けを進め、運営経費が高い場合は適切なコストコントロールのアドバイスを行います。
また、社会構造の変化や働き方改革によって、当初の計画時からオフィスビルに求められる機能が大きく異なってきている場合があります。その場合は当社のビル受託営業部やビル営業部の機能を活用してテナントから求められるオフィス機能の再構築をサポートすることもできます。

添田 コロナ禍で在宅勤務が増えたことで、極端なオフィス不要論も出ていますが、様々な社会状況の変化を柔軟に捉え、ベストな活用策を常に見据えることで、オーナー様が現在のマーケット状況や物件のコンディションをいつでも気軽に相談でき、安心感を持っていただける機会を作りたいと考えています。

不動産のライフサイクルに適した一貫性あるソリューションのご提供

中村 当社では管理させていただく物件にそれぞれ物件担当者が決まっており、売買や不動産鑑定等の話も物件担当者を窓口として行うことができます。他社では各部門によって担当がバラバラでお客様からすると誰に相談すればよいのか分からないといった状態に陥りがちですが、当社では相談窓口が一本化されており常に情報が全社に共有されますので、オーナー様からはストレスなくご相談いただける点を評価いただいております。

添田 また、当社ではオーナー様が所有する不動産の管理やバリューアップ、現時点における不動産の鑑定評価や資産組み換え時の売却活動、新たな不動産の購入や建替えを検討する際の商品企画まで、不動産のライフサイクルの中で生じるあらゆる業務に携わっています。ワンストップでの事業展開によるスピードの速さも当社の強みとして、賃貸事業を検討される法人のお客様のお役に立てるものと思います。

楠木 社内で蓄積されている経験やノウハウにより、間口が広く奥行きの深いご提案を可能にしています。不動産運用は長期に及ぶケースもありますので計画段階でゴールを見据えていないと、連続性や一貫性がなくなり最終的に失敗するリスクが高まります。
当社の「賃貸事業立上げ支援ソリューション」では、事業計画策定の段階から不動産のリニューアル、建替えまで長期的な視点をもってお客様をご支援することをお約束いたします。企業の経営課題解決の為の選択肢として気軽にご相談いただければ幸いです。

三菱地所リアルエステートサービス
賃貸事業グループ ビル受託営業部 次長 一課長兼務

添田 滋一郎

2005年入社。入社後は賃貸住宅の受託営業、リーシング、プロパティマネジメント業務等を担当。2011年よりビル受託営業に従事。新築ビルの賃貸企画や既存ビルのリニューアル、空室改善など資産価値最大化に向けた幅広いコンサルティングサービスを手掛けている。

三菱地所リアルエステートサービス
賃貸事業グループ 住宅運営部 二課長

中村 健太

2004年入社。流通事業グループにて不動産バルク処分や大型オフバランス、不動産信託受益権の売買、CRE戦略コンサル営業を経験後、2016年より住宅賃貸事業グループにて管理物件の新規受託営業に従事し、2019年より住宅運営部にて賃貸マンションの管理運営業務を担当。

三菱地所リアルエステートサービス
マーケティング部 ソリューション開発室 兼 営業推進一課 参事

楠木 崇嗣

2008年入社。関西支店・本社にて法人および個人向けの不動産売買仲介、オフィスビル賃貸仲介業務、出向先の大手百貨店にてCRE戦略の策定・実行を支援するなど幅広い業務を経験。現在、マーケティング部にて各部署横断の経験を活かし自社のソリューションメニュー開発を行っている。

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