少子高齢化が進むいまだからこそ! 不動産投資の対象として「介護施設」に注目が。
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2015年に4人に1人が高齢者となった日本。一般的な住宅だけではなく介護施設の需要が高まっている。さらに介護の必要はなくてもそれまで住んでいた住宅を売却し、サ高住(サービス付き高齢者住宅)と呼ばれる高齢者向けの住宅に移り住む人も増加傾向にある。需要が高いということは、不動産投資先として、高齢者向けの施設も有力になるということ。今回は、投資先としての介護施設について解説する。
4人に1人が高齢者。需要が高まる介護施設
いまや4人に1人が高齢者(65歳以上)となっており、2030年には3人に1人が高齢者になるという予測がある※。そこで需要が高まっているのが高齢者向けの介護施設だ。
これまでいわゆる老人ホームというと、介護が必要な高齢者、日常生活を自分だけでは行えない人が入る場所というイメージがあるが、最近ではニーズに合わせて多様化している。自立できる人でも、それまで住んでいた家は子どもも独り立ちして広すぎる、バリアフリーになっておらず、今後同じ家で暮らすには不安があるなどの理由で自宅を売却し、サ高住といわれる、自立できる高齢者専門の住宅に移り住む人も増えている。
種類が多様な高齢者向けの住宅、介護施設だが、それぞれについて簡単に紹介する。
要介護状態の方向けの施設
施設の種類 | 受入対象者 | 認知症患者の受入※1 | 看取り※2 | 入居待ちの目安 | |
---|---|---|---|---|---|
民間施設 | 介護付き有料老人ホーム | 自立~要介護5 | ○ | △ | 短い |
住宅型有料老人ホーム | 自立~要介護5 | △ | △ | 短い | |
グループホーム | 要支援2~要介護5 | ○ | ✕ | 長い場合も | |
公的施設 | 特別養護老人ホーム | 要介護3~要介護5 | ○ | △ | 長い |
介護老人保健施設 | 要介護1~要介護5 | ○ | △ | 長い場合も | |
介護療養型医療施設 | 要介護1~要介護5 | ○ | △ | 長い場合も |
自立状態の方向けの施設
施設の種類 | 受入対象者 | 認知症患者の受入※1 | 看取り※2 | 入居待ちの目安 | |
---|---|---|---|---|---|
民間施設 | サービス付き高齢者住宅 | 自立~要介護3程度 | △ | ✕ | 短い |
健康型有料老人ホーム | 自立のみ | ✕ | ✕ | 短い | |
高齢者専用賃貸住宅 | 自立~要介護3程度 | △ | ✕ | 短い | |
高齢者向け優良賃貸住宅 | 自立~要介護3程度 | △ | ✕ | 長い場合も | |
シニア向け分譲マンション | 自立~要介護5 | △ | △ | 短い | |
公的施設 | 軽費老人ホーム | 自立~要介護3程度 | △ | ✕ | 長い |
ケアハウス | 自立~要介護3程度 | △ | ✕ | 長い |
※1 [認知症患者の受入]軽度までなら可能な場合を、△としている。
※2 [看取り]施設により可能な場合を、△としている。
最近注目される「サ高住」。自立できる段階から利用できる施設が増えている
上図を見るとわかるように、公的施設は入居待ちが長い傾向にある。それはキャパシティーが比較的小さいことが理由だが、その分、最近は民間施設が増えている。介護付き有料老人ホームは国が定めた基準をクリアし「特定施設入居者生活介護」と呼ばれるサービスを提供する認可を受けた施設だ。
住宅型有料老人ホームは、食事や清掃・洗濯などの生活サービス、医療機関との連携がされている施設。サービス内容は介護付き有料老人ホームとほとんど変わらない施設もある。
グループホームは、要支援2以上で認知症を患う高齢者向けの施設になる。
自立できる人向けの施設では、バリアフリーが徹底されている、有資格の相談員が常駐している、介護が必要になった場合には必要なサービスを受けられるといった特徴がある。特に注目されているのは「サ高住」と呼ばれるサービス付き高齢者住宅だ。
暮らしぶりは一般のマンションとさほど変わらないところが特徴で、従来の家が子どもたちも独り立ちして無駄なスペースが増えた、万一のときに備えておきたい、子どもたちに迷惑をかけたくないといったニーズに応える施設だと言える。他にも健康型有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅、高齢者向け優良賃貸住宅、シニア向け分譲マンションなど、高齢者向けのサービスを提供する施設は多様だ。
不動産投資先として優良な「高齢者向け施設」
不動産投資の観点から、これらの高齢者向け施設に目を向けてみるといくつもの利点が見えてくる。
- 人口減少時代には珍しい「拡大市場」である
- 一般のオフィス、住宅に比べて、立地条件の影響が比較的小さい
- 賃貸の場合、家賃収入に加えて介護サービスでの収益も見込める
まず、高齢者は今後も増え続けるため、高齢者向け施設の需要は高まる一方だということが挙げられる。それだけ、長期的に見て空室リスクが小さい点がポイント。次に、不動産の収益性に大きく関連する立地条件だが、高齢者の場合、リタイアしている方も多く通勤の便の影響は小さくなる。駅から遠くても環境がいい場所、自動車でのアクセスがよく家族などが訪問しやすいところなどにも高齢者施設が増えている。最後に、家賃収入だけではなく介護サービスなどでの収益も見込める点が大きい。介護サービスそのものは資格を持つ事業者に委託すれば対応できる。郊外の使用しなくなった物流施設などの跡地は、高齢者向け施設として有望だ。
デメリットとしては、既存施設を改装する場合・新規に建築する場合でもバリアフリー対応、各種専門設備の用意、関連法令への適応などが求められ、一般的な住宅やオフィスよりも初期投資が多くなる傾向があることが挙げられる。