不動産投資マーケットレポート 福岡市
目次
本業を安定的に下支えする収益源や企業不動産の有効活用の一環としても着目される不動産投資。
企業不動産戦略として投資不動産の新たな購入を考える際、重要となってくるのがエリア選びだ。例えば不動産のポートフォリオを組む上で関東圏などにエリア集約することで管理の効率化などメリットが考えられる。
しかし一方で、マーケットの変動や災害など、保有不動産を特定のエリアに集中することでのリスクも考えられる。故に、リスクを分散するために地方の不動産を投資対象として検討する選択肢もあるだろう。
では、地方都市を含めて不動産を分散して所有する場合、数ある地方の中で魅力的なエリアはどこか。そこで一つの候補として挙がるのが福岡市だろう。住宅地価の上昇から考えられる成長性や賃料・稼働率の安定性、災害リスクの低さなどが魅力として挙げられる同市。本記事では、森記念財団による日本の都市特性評価における138都市(東京23区除く)の中で総合スコア3位と高い評価を受け、人口増加数や人口増加率が政令指定都市において1位を誇る九州の玄関口、福岡市にフォーカスする。
不動産投資エリアとしての福岡市の魅力
- 都市としての
魅力
さまざまな分野で
見込める成長性 - 再開発による
経済効果
規制緩和により
活発化 - 福岡市の
不動産市況
他都市との比較で
見える投資価値 - 福岡市と
災害リスク
これからの時代に欠かせない
低リスクという要素
都市として高い魅力を兼ね備え、
成長のポテンシャルを秘めた福岡市
福岡市の高い人口増加率は、利便性を備えたコンパクトシティであることが理由の一つとして挙げられる。空港や港が街の近くにあり、狭い平野部にショッピングモール・市役所など、生活に必要な施設が集約されている。また総務省統計局「国勢調査」によると、福岡市の若者率は16.78%で全国第2位、生産年齢人口比率は61.42%で全国第5位と全国及び主要都市と比較して相対的に高い数値を示している。
再開発も活発に計画されていることで成長性も見込めるなど、高い魅力を兼ね備えた福岡市は、災害リスクも低いことから投資対象として魅力的であると言えるだろう。
福岡市は、さまざまな分野で日本一を記録している
規制緩和により再開発が活発化
経済効果も期待される
航空法の規制によりビルの高さが低く抑えられてきた福岡市だが、ここにきて規制緩和の動きが出てきたことで再開発の動きが活発化。天神エリアの一部区画の高さ規制は115mまで緩和され、今後福岡市中心部にも100m超えの超高層ビルが誕生する可能性が考えられる。
代表的な再開発計画である『天神ビッグバン』は、2024年までの間に30棟のビルの建替えを誘導し、新たな空間と雇用を創出する計画だ。建替え完了後の経済波及効果は8,500億円/年が期待されている。
また、更新期を迎えたビルの建替えを促す『博多コネクティッドボーナス』が創設され、容積率などの規制緩和により10年間で20棟の建替え誘導を目標に、耐震性の高い先進的なビルへの建替えが計画されている点も注目したい。
交通インフラについても福岡市地下鉄七隈線が天神南駅から博多駅まで約1.4km延伸、1日あたり約82,000人(新規利用者数は約23,000人)の乗車が見込まれる。交通基盤の拡充とあわせ歩行者ネットワークを拡大するとともに、歴史ある博多旧市街との回遊性を高める都市機能の向上が期待される。
見込まれる経済効果
データで見る福岡市の不動産市況
国土交通省発表の「地価公示」によると、福岡市の住宅地は、2012年から2022年にかけて年平均で+4.81%上昇している。対して大阪市は+0.76%、名古屋市は+2.34%と主要政令指定都市と比較しても高い上昇率だ。
地価公示・地価調査の推移
主要政令指定都市と比較しても高い上昇率を示す地価公示
また、福岡市の賃貸マンションの賃料単価はコロナ禍においても大きな下落は見られず、全体平均6.8千円/坪となっており、都心五区・主要政令指定都市と並んで横ばいで推移している。稼働率の変動率も少なく、都心五区、主要政令指定都市と比較しても安定していると言える。キャップレートは福岡市平均で4.5%と下落傾向ではあるものの、名古屋市、大阪市よりも高いため、他都市と比較しても投資対象として安定的に収益が見込める可能性が高い。
賃料単価比較
福岡市の区毎の賃料単価は、コロナ禍においても安定的に推移している
賃料単価と稼働率変動係数の散布図
変動係数とキャップレートを組み合わせたグラフを見ると、
稼働・賃料の変動が比較的少なく、キャップレートも期待できる福岡市の安定性が見えてくる。
これからの時代に欠かせない
「災害リスクの低さ」という要素
福岡市の不動産を投資対象として検討する上で、比較的災害リスクが低いこともポイントの一つとして押さえておきたい。
財務省「地震保険の基本料率(令和3年1月1日以降保険始期の地震保険契約)」によると、福岡県は他のエリアに比べて少ない費用で地震保険加入が可能、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が低いという見通しがなされている。また、雨水排水処理能力を向上させることで着実に浸水被害を減らすなど浸水対策にも力を入れている。
地震保険契約基本料比較
福岡県は他のエリアに比べて少ない費用で地震保険加入が可能
浸水被害の状況
雨水排水処理能力を向上させることで着実に浸水被害を減らしている
このように都市としての魅力に富み、首都圏と比較しても投資先として安定した収益を期待できる福岡市に目を向けてみても良いかもしれない。
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※本記事の内容は2022年3月時点のものです。