コミュニケーションの源泉を生み出し
社員を主役にするライブオフィス
TD SYNNEX株式会社様
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世界的なITディストリビューター・TD SYNNEX Corporationの日本法人であるTD SYNNEX株式会社
コロナ禍による働き方の変化をふまえてオフィスの役割を再定義し、社員が行きたくなるオフィスをつくることを目的として、msb Tamachi 田町ステーションタワーNに移転した。
新しいオフィスは、社員の働き方の要望に応えながら柔軟に進化し続けていくことを目指している。
目次
TD SYNNEX 株式会社
GA & Internal Communications部
部長
内藤 雅夫 氏
TD SYNNEX 株式会社
GA & Internal Communications部
ファシリティーズチーム
藤原 重彦 氏
オフィスに求める役割を再定義
移転前のオフィスでは毎日のオフィス出社を基本とする勤務形態を採っていたTDSYNNEX 株式会社。しかし、コロナ禍を経てリモート勤務が浸透。 社員の働き方としてリモート勤務とオフィス出社の二極化が進み、出社率は全社員の20~25%にまで減少した。社員のワークスペースの選択の幅が広がったことで、 オフィス環境を新たに整備する必要性が生じていた。加えて、オフィススペースの有効活用も課題となっていた。GA & Internal Communications 部 部長の内藤雅夫氏は旧オフィスでの問題点を次のように振り返る。
「当社はIT商社としてさまざまな商品を取り扱っていますが、以前は執務室内の3分の1を大量の商品の陳列と保管に使用するなど、オフィスと倉庫の役割が混在して不明確な状態でした。 また、約1,050坪という広いオフィス面積を有していながら、会議室の不足、一人当たりの快適さを追求したデスクワイドやオフィス内での多様な働き方を選択できるワークスペースを十分に確保できていませんでした。」
オフィスは「利用する一人ひとりの社員が主役」 であるため、コンサルが行うようなさまざまな角度からのサーベイを、より当社社員の特性に落とし込んだうえで自社内で実施し、そこから浮き上がってくる課題や要望をもとに、社員の働き方の実情にあわせたオフィス環境整備と、オフィスそのものの役割を再定義し、この二つの課題を解決することが移転の大きな目的だったと、内藤氏は話す。
「社内で検討を重ね改めてオフィスの役割を明確化し、新しいオフィスを社員の育成や社内外の交流を促進し、対外的にブランドを発信していく場と定めました。この役割を果たし、さらに、社員が出社したくなるオフィスをつくるべく、移転の計画を進めていきました。」
4つの条件を満たす最適なオフィスビルへ
移転計画は社内のファシリティーズチームを中心に進行。まずは移転に際して必要なオフィス面積を算出する (スペースファクター)作業に取り掛かったという。「会議室とゲストエントランスを含めたさまざまなスペースを管理する部署のオーナーがいたため、必要な面積、使用頻度、必要な理由を各部署にヒアリングを実施のうえ、その情報を元に、オフィスの何%の面積を削減すべきか洗い出しをいたしました。」
さらに、移転の目的を達成するために、新オフィスに求めるものとして4つのゴール(条件) を設定した。
1つ目は、社員が 「次世代を担うソリューションアグリゲーター」 としての自負を持てる場所であること。「当社では社員に対して、単に機器の性能だけをお客様に提供するのではなく、サービスを組み合わせた解決策をお客様に提案することのできるソリューションアグリゲーターたることを課しています。 田町という次世代に向けて日々進化をする上での再開発が進む街に本社を移転することにより、社員の自主性や発想力を養うことができる環境を非常に重視しました。」
2つ目は、交通アクセスが良いこと。 旧オフィスは駅から遠く、徒歩でのアクセスに時間を要していたため、最寄り駅から近い物件を条件とした。さらに、全国のお客様にとっても新幹線や飛行機といった公共交通機関を利用いただいた際の交通アクセスが良く、どなたも迷わずに、そして時間をかけずにご来社いただける立地が望まれた。
3つ目は、社員の帰属意識を高められるオフィスであること。社員が積極的に出社し、単なるワークプレイスとしてだけでなく企業文化を醸成する場所にしたいという狙いがあった。
4つ目は、BCPやサスティナブルに対応したビルであること。「大規模災害が発生しても、お客様へ日常提供している当社のサービスを止めずに提供できること。」
これらの条件を満たすオフィスとして選ばれたのが、田町駅徒歩3分に位置する「msb Tamachi 田町ステーションタワーN」だった。その理由を内藤氏はこのように語る。
「品川・東京の両駅から非常にアクセスが良い田町駅。 お客様をお招きする際、 何度も電車を乗り換えることなく来社していただける点が魅力的でした。また、田町エリアや近隣の品川・高輪エリアでは近年、活発な再開発が進んでいます。 国際化に向けて柔軟に変化し、進化を続けるエリアの特性が、ソリューションアグリゲーターの核となる“能動性”とも一致していると考えたのです。」BCPの側面からも優位性があったと内藤氏は説明する。「停電が発生した際にも、このビルでは非常用電源が稼働することで、約40秒で復電が可能となっています。また、平時の3分の2ほどの量ではありますが、停電が続いても7日間から10日間は電気が供給されるのです。有事の際でも通常業務を滞りなく進めることができる強靭性は新しいオフィスに欠かせないと考えました。」
主体性を育て、交流を生み出す自由なレイアウト
新オフィスのレイアウトでこだわったのは、開放感があり、明るくコミュニケーションを活性化させる空間であることだ。GA &Internal Communications部ファシリティーズチームの藤原重彦氏は詳細を次のように語る。「4つの条件のうちの一つでもありましたが、社員の帰属意識を高めることのできるオフィス環境をつくることは、今回の移転の大きなポイントとなりました。社員が来たくなる場所、わくわくするような空間、機能性の高い什器の配置を目指して、有志チームで内部デザイン・レイアウトの検討を進めていきました。」
オフィス内はウェルビーイングを意識した全面ガラス張り。日の光がふんだんに入り、開放感にあふれている。さまざまな多機能型の什器を取り入れた執務スペースはフリーアドレスで、交差するコミュニケーションをテーマに縦・横・斜めに席が配置されている。通路幅は広く、社員が横並びで話しながら歩いても他の社員と悠々とすれ違うことができる。
「内部デザイン・レイアウトを組み立てていく上で、ライブオフィスであることは勿論のこと、ダイバーシティとウェルビーイングも重要なキーワードでした。広い執務室内通路はコミュニケーションを活性化させる役割に加え、ハンディキャップをお持ちの方においても支障なく行き来できることはもちろん、全面バリアフリーであることや、セキュリティカードリーダーの位置がグローバルセキュリティガイドラインに基づき工夫・設置されております。明るい室内も、ウェルビーイングの観点から、窓からの採光を意識したレイアウトによって実現したものです。」
また、昨今よく出てくるフレーズの「ABW(Activity Based Working)」にみられる集中ゾーンやリラックスゾーンなど、会社が決めた使い方によるゾーニングを“あえて定義していない” ことも新オフィスの特徴だ。
「ゾーンの用途を会社で決めてしまうと、社員はその決められたルールに従ってスペースを利用することになり、無意識に思考が受け身になってしまいます。今日、どんな人とどんな仕事をするのか、そのためにはどんな環境が必要なのかを社員自らが考えて、選べる、社員の自発性や自主性を尊重したかったのです。結果的に、社員が自分で働く環境を取捨選択できる、とても自由なレイアウトになりました。お客様の目線に立ち数歩先を見据えて自発的に提案をしていくソリューションアグリゲーターとしてのあるべき姿勢が、オフィスにも表れています。」
藤原氏のもとには、「オフィスが明るい!会社に行きたくなる!」という社員の声が届いており、「行きたくなるライブオフィス」を実現したといえる。
社員の働き方のニーズにきめ細かく柔軟に応えていく
最後に内藤氏に、今後のオフィス戦略について伺った。
「新しいオフィスで目指したいのは、働き方のダイバーシティとウェルビーイングの実現です。ハンディキャップを持つ人々の採用も積極的に進めていく予定です。また、WELL 認証の一種である『Health-Safety Rating*1 取得に向けた準備を進めています。将来的にはさらに審査の厳しい『Building Standard v2*2』の取得も目指したいですね。」
オフィスの主役はあくまでも、ここで働く社員だと話す内藤氏。オフィスづくりに対する意気込みをこう続けた。
「社員一人ひとりが、『コミュニケーションが取りやすく、働きやすいね』『この会社で働いていてよかった』と思ってくれると励みになります。さらなる働きやすさを目指し、什器やオフィス環境を柔軟に変化させる“ライブオフィス” として、社員の要求に応じたオフィスづくりを展開し続けたいですね。移転は完了しましたが、社員の生き生きとした働き方を支える環境づくりはまだスタート地点。これからも試行錯誤を重ねながらこのオフィスで活発なコミュニケーションを生み出し、我々のカンパニーテーマでもある“Power of us”、一人ひとりの社員の活気や前向きなパワーを一つにしていきたい。そして、お客様や協力会社の皆さんにも、ビジネスを通じてぜひそのパワーを波及させていきたいです。」
60年以上日本でビジネスを展開してきた外資系グローバル企業であるTD SYNNEX。時代に応じた変化を遂げて進化する田町と同じように、社員の働きやすさに柔軟に対応したオフィス環境づくりは、多種多様な人材を集め、事業を推進させる原動力となるだろう。
*1 感染症やその他の緊急事態に対するさまざまな取組みを行っていることを示す第三者評価。現地検証はなく、提出書類のみで審査される。
*2 人々の健康に配慮した建築や街区の環境の性能を評価する。書類審査に加え、現地で実施される、空気質・水質・光・音などの環境測定と各種チェックにおいて要件を満たす必要がある。
msbTamachi 田町ステーションタワーN
- 所在地:
- 東京都港区芝浦3丁目1-1
- 構造:
- 鉄骨造
(一部鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造) - 規模:
- 地上 36階/地下 2階/塔屋 2階
- 延床面積:
- 152,349.19㎡(46,083.51坪)
- 竣工:
- 2020年7月
- 交通:
- JR各線「田町」駅 徒歩3分
都営浅草線、三田線「三田」駅 徒歩5分