長年愛された店舗ビルの閉鎖と後継テナント探索に際したCRE戦略サポート

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CRE(企業不動産)戦略により複数店舗の拠点統廃合を実行している企業が、賃借中の物件から撤退する場合、地主との長年の関係や地域住民に対し果たしてきた役割が大きいほど、事前に綿密な準備が必要となります。今回は、関係者の利益を考慮した最適な不動産活用手法の提案を行い、撤退を伴う場合でもそれぞれがWIN-WINの結果となる取引を実現したCRE戦略実行のサポート事例をご紹介します。

目次

人々の生活スタイルの変化により迫られた、拠点統廃合の実行(既存店舗の閉鎖)

全国で小売・卸売業を営むA社が一棟借りしている埼玉県内の駅前店舗ビルで1区画分の空室が発生し、長年同社のCRE戦略サポートを行っている当社に、当区画のテナントリーシングをご依頼いただき、賃借希望者の探索を行っておりました。同時並行して、当時A社では新型コロナウイルス感染拡大に伴い、営業時間の制限や外出自粛によるECでの売上増加の影響から、収益性の低い郊外型店舗の統廃合を検討していました。

コロナ禍が長引いたことから、A社は駅前店舗ビルの空室を埋めるのではなく、再編の対象として店舗全体を閉店し、一棟借りの解約を決定。当該店舗は地主がA社に賃貸するために建物を建てた経緯があり、A社と地主は長年良好な関係を築いていたため、閉店する旨を伝えると地主もショックと不安を隠せない様子でした。また、長年地域住民に愛されてきた店舗であり、閉店することで地域の営業活動にも影響が生じてしまうため、A社は閉店を決めたものの実行には慎重でした。

そこで、A社より「当社が閉店・撤退したとしても地域住民や地主に貢献できるよう、最良な土地活用手法を検討し、地主のサポートをして欲しい」と、空室区画のリーシング探索を行っていた当社へそのままご依頼いただきました。

地主への土地活用提案

A社に地主を紹介いただき早速面談。本土地の活用方法について提案を行いました。既存建物を活かした建物賃貸、更地にして土地賃貸、駅前という立地を活かしマンションディベロッパーとの等価交換事業などを含んだ売却など、複数の活用方法についてご説明しました。

地主は本土地への思い入れから手放すことに抵抗感があり、引き続き所有し賃貸することを決意。既存建物を賃貸する場合には高額な修繕投資が必要であり、手間のかからない形が好ましいという地主の意向を汲み、多額の投資を必要とせず管理が煩雑にならない土地貸しをご提案し、賃借人の探索を行うこととなりました。

地主への提案内容

賃借人の探索および物件周りのサポート

早速当社のネットワークを活かして賃借人の探索を開始。コロナ禍で多くの業種が積極投資を控えていた中で、巣ごもり需要により業績好調な商業施設運営会社B社が、既に本物件周辺に系列店を多く構え、更なる地域貢献をしていきたいという強い意向があり、興味を示しました。地主はB社を高く評価し、条件面も合意に至ったため、契約を取り進めることとなりました。なお、B社は与信のある企業であり、旧賃借人であるA社にとっても納得のいく後継テナントとなりました。

その後、契約・引渡しにあたり、建物の解体手続きや埋蔵文化財調査、契約者間の公正証書の締結など複雑な手続きについては、当社が丁寧にサポートを行いました。また、新規建物のプランについては地主より近隣住民の意向を伺い、可能な限りプランへ反映できるようB社と調整するなど、多方面への影響を考慮しながらプロジェクトを進めていきました。

本物件は駅前に立地し注目を集める物件であったため、B社の出店情報が噂されB社及び地主へ多くの問合せが寄せられましたが、当社は双方の窓口として手間が生じないよう情報管理を行いました。

当社のサポート内容

依頼主だけでなく、ステークホルダーの利益を考慮したCRE戦略サポート

昨今の企業において、新型コロナウイルス感染拡大による人々の生活スタイルの変化や働き方改革、ESGに配慮した取り組み、デジタル技術の向上など、長期的な視野からの経営戦略が求められるようになり、企業の保有・賃貸する不動産について見直しを図る時期にきています。小売業においては、資本効率の向上のための拠点統廃合・コスト削減、顧客との関係構築のための体験価値向上・ECなど多様な販売チャネルの展開などが、CRE戦略に着手・実行する要因となっています。

今回のA社においてもこのような背景から見直しを迫られ、拠点再編を実行するに至りましたが、利害関係者が複数いる場合、円滑に進める難易度も高くなります。当社は不動産のプロとして、最適な不動産活用手法の提案および実行を行うことで、テナントの撤退を伴う今回のような場合でも、A社・地主・地域住民・B社とそれぞれがWIN-WINの結果の内にCRE戦略の実行をサポートすることができました。また、後継テナントを迅速に誘致できたことにより、取引関係者はもちろん、地主・地域住民にとっても利益の最大化が図れた良い結果であったと思われます。引渡し後には、地主よりA社及び当社へ御礼のご連絡もいただきました。引渡し後の地主、B社のサポートはもちろん、当社が長年お世話になっているA社の拠点再編についても、引き続きサポートを行って参ります。

POINT

  • A社:業績に応じた店舗の統廃合を行い、資産効率向上を図るCRE戦略を実現
  • 地主:信頼できる企業への土地賃貸により、手間なく継続的な収益源を確保
  • B社:注力エリアでの新規事業用地を確保、地域経済への貢献

※本事例の内容は公開当時のものです。

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