《 プロジェクトレポート2 》

リミットは2ヵ月半。
冷静な判断と行動で
オフィス移転を完了。

プロジェクト概要

「至急、オフィスを移転したい」。東日本大震災発生から3日後、ある企業から電話が来た。現在のオフィスの耐震性能に難があるからだと聞いたが、問題はその時期。6月に一大プロジェクトを控えるその企業は、それまでに移転を完了させたいという。残された期間は約2カ月半。無謀とも思える移転プロジェクトが始まった。

賃貸事業グループ ビル営業二部 / 長政 亮 / 2009年入社 / 法学部卒
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必死の声に決意を固める

2011年3月、東日本大震災が日本列島を襲ったのは金曜日の午後だった。地震の恐怖と不安がさめやらぬ月曜日、その電話は来た。東京の都心部にオフィスを構えるとある企業からだ。切迫した声はこう告げた。「至急、耐震性能に不安のないビルに移りたい。6月に社運を賭けた一大プロジェクトが控えているので、それまでに必ず完了してほしい」。必要な広さは600坪。グループ会社が多数あるため、移転先は同一エリア内に限られる。そして何より、与えられた期間は約2カ月半。無理難題といわざるを得ない。だが社会が混乱していた当時、この必死の声に応えようと長政は心を決めた。

電話を受けてすぐに、候補のビルをピックアップしてお客様のもとに向かった。打ち合わせの最中も容赦なく余震が襲う。耐震性能に問題があるビルで、親会社から早急の移転を厳命されたという。「なるほど、こんなに揺れるのでは仕方ない」。長政にもお客様の危機感がひしひしと伝わってきた。

細かな希望を聞き、その日の23時、長政は再びお客様を訪ねた。条件に合うビルを細かく調べ、資料を整えるのにそれだけの時間を要したのだ。深夜だが、長政は訪問をためらわなかった。緊迫した事態に、お客様も快く応じてくれた。ところでオフィスを探す時は通常、いくつもの仲介会社に頼んで進める。だがこのスケジュールでは、そのような比較検討は無駄と判断された。依頼当日の素早いリアクションで信頼されたのだろう。早々に、三菱地所リアルエステートサービスが一社で任され、移転話を進めることになった。

02

綱渡りの進行を冷静な判断で乗り切る

ここからが、綱渡りの日々が始まりだった。早々に、候補は2フロアで600坪を確保できるビルに絞ったものの、契約には親会社の承認を得なければならないという。親会社は名だたる大企業。承認にも時間がかかる。一方でビルオーナーは、契約を確約できなければ2フロア、600坪を押さえておくのは無理だという。今、この瞬間にも片方のフロアに申し込みが入ってしまったら、そのビルへの移転は不可能になる。実際、そのビルを検討している会社はいくつかあった。是が非でも押さえよう。お客様側の担当者と長政は強い決意で、他の会社より先に借室の意思表示をすべく親会社内の根回しを進め、破談の危機を乗り越えた。

内装工事や設備工事も同時進行だった。内装工事は片端から工事会社に話を振るものの、あまりに短い工期に断る会社が続出した。「できる」と返事をしたのは3社。最初の打ち合わせは1社に絞り込めないまま、3社が同席するという異常事態だった。いよいよとなったら複数社に分けて発注し、同時に工事を進める可能性もあったからだ。

設備工事も見切り発車だ。通常、ビルが確定できなければ進めようがないが、本契約を待っていたら到底間に合わない。長政は「絶対にこのビルで決めますので」と押し切り、スタート。契約、内装、設備のどれか一つでもつまずけば成り立たないプロジェクトだった。「通常、ある程度は同時進行で進めるのですが、ここまで綱渡りというのは経験がありませんでした」と、長政は当時を振り返る。お客様にも譲れる条件と譲れない条件の切り分けと、ある程度の妥協も迫った。例えば間仕切り。作りたかったが資材が手配できずに断念した。

03

移転という高度な経営判断を支援する仕事

先方の希望だった6月、無事に移転はできた。内装は完全には終わらない状態だったが、社運を賭けたプロジェクトはスタートでき、長政は役割を果たした。お客様側の担当者との打ち合わせは深夜に及ぶこともあった。ほんの少しのことでも先送りできない厳しい時間との戦いの中、二人三脚で乗り切った。時には先方の要望も冷静に却下しながら。長政はいう。「僕もそうでしたが、相手もプレッシャーで大変だったと思います。そこでいわれるままに要望をかなえようとふりまわされてしまったら、お互いによくない。常に先を見て行動し、冷静に判断し、相手のプレッシャーを和らげる。それができないのだったら、自分の存在意義はありません」。

「オフィス移転とは、今いるオフィスに何らかの問題があり、そこにいては解決できないから移転という経営判断をすることにほかなりません。僕らの仕事は不動産というリソースで経営課題を解決することなのです」。長政は、自分の仕事をこう語る。就職活動時、長政は「経営の本質的なところにインパクトを与える仕事がしたい」と、不動産業界を志望した。その思いは今、ここで確かに実現できている。オフィス仲介という仕事を通じてさまざまな会社に出会い、さまざまな会社の課題を解決している毎日だ。

長政 亮
Profile
就職活動時、個人のお客様なら生活の本質に、法人のお客様なら経営の本質にインパクトを与える仕事をしたいと金融と不動産を志望。中でも法人に強く規模の大きいものが扱えると感じた当社へ。面接等で出会った社員のいきいきと働く姿にも魅了された。