《 プロジェクトレポート2 》

お客様のニーズを丁寧に引き出し
最善の選択肢を提示する
自らの介在価値を実感する喜び

プロジェクト概要

“自由な発想を求めて”、東京に先端技術の開発拠点を設けることにした部品メーカーA社。本社が東海地方にあるため、東京にも開発者がいたものの、その数はわずか数名。A社の東京事務所の一角で開発を行っていた。しかし今回、A社は東京の技術者の数を50名に増員し、開発部隊単独のオフィスを構えることにしたのだ。オープンは1年半後。タイトなスケジュールにも関わらず、やるべきことは山積していた。

ビル営業二部一課 / 勝山 恭嗣 / 2014年入社 / 法学部卒
01

「一度やってみないとわからない」。異例の仮移転を実行

「オフィス移転するには、何が必要ですか?」。初回の打ち合わせで、勝山に対してA社の担当者は困ったような表情で質問してきた。移転担当者といっても、本業は研究者。オフィス移転の経験も知識もゼロだ。与えられた期間も1年半と短い上、今回の移転は一般的な事務所ではない。研究開発拠点として特殊な機械や装置も設置する。排気や排煙の設備、騒音対策、床荷重や電気容量などにも特殊な対応が必要になる。勝山は、困難なプロジェクトになることを予想した。

移転にあたりA社から示されたのは、移転スケジュールと人数および“自由な発想が生まれるオフィス”というコンセプトだけだった。「まず大まかな道筋を立て、場所の希望、新オフィスでやりたいこと、そのために必要な機能、搬入したい機械などを一つひとつ詰めていきました」と勝山は振り返る。だが、A社側も明確なイメージを持たずにスタートしており、打ち合わせを重ねてもお互いに不安が残った。「一度やってみないとわかりませんね」と、どちらからともなく漏れた声に、勝山は思い切って、「今、東京にいる技術者だけで一度、移転をしてみたらどうでしょうか」と提案した。実験的に移転してみて、オフィスに必要な機能や設備を検証し、その後、50人規模の本番の移転を実施するという作戦だ。

「人数分の机を用意すればいいだけの普通の移転なら、何の問題もありません。でも今回は違います。多額のお金がかかる50人規模の移転をいきなり実行するには、あまりにリスキーだと考えたのです」。勝山は仮移転の意図を説明する。A社も提案を承諾。勝山はすぐに、電気容量や床荷重などのスペックを満たし、短期間の契約が可能なビルを探し出し、臨海副都心エリアのビルへの仮移転を実行した。

02

A社の決断をサポート。綱渡りの進行も乗り切る

仮移転と並行し、本番の移転先探しも続いていた。勝山は、仮移転先と同じ臨海副都心エリアの大型ビルに照準を定めていた。というのも一般的に研究開発用途での入室に難色を示すビルは多いのだが、「その点、臨海副都心エリアならテレビ局もあり、その関連会社らが入居するビルも多く、オーナー様も多様な使い方に寛容です。メーカーの実験的なショールームなども近くにあり、先端研究の拠点にも相応しいですし、賃料も東京駅近辺などと比べるとリーズナブルです」と、勝山は選定理由を説明する。意中のビルは東京湾も一望でき、A社のコンセプトにも合致すると考えたのだ。

仮移転したメンバーも臨海副都心エリアを気に入っていた。一方で、A社本社の上層部は、東海地方から新幹線で来ることを想定し、東京駅近辺も視野に入れていた。勝山は、臨海副都心、東京駅近辺、その他のエリアも含めて数々のビルをリストアップし、その一つひとつについて詳細な資料を作成した。担当者とはすべてのビルを見学して回り、本社の役員にも折々に見学に来てもらった。労力をいとわず、A社が決断を下すための支援に努めた。

だが、最終的に移転先が決定するまでは、綱渡りが続いた。A社は担当者、本社の総務、総務担当役員、社長と決裁の段階が多く、意思決定に時間がかかるのだ。一方で東京のオフィスビル市場は空前の活況で、空室が極めて少ない。希望のビルはすぐに仮押さえをしなければいけないスピード勝負だった。「ビルオーナー側から、あと1時間しか待てないと言われ、本社の総務の方とかけあって仮押さえのための書面を出してもらったこともありました。本当にギリギリの進行でした」と勝山は言う。

最終的には、実際に入居するメンバーがビル自体を気に入り、本社の上層部には価格が決め手となり、勝山が当初から狙っていた臨海副都心エリアの大型ビルへの移転が決定した。

03

「任せてよかった」の一言。介在価値を発揮できた喜び

プロジェクト始動から1年半。約束の期限内に、A社の開発拠点はオープンした。50人でスタートしたが、将来の増員を見越してゆとりを持った広さとした。移転先のビルが決まった後も設計や内装工事を手配するなど、勝山はオープンまでの全工程にわたりA社の担当者をサポートした。「ここまでサポートが必要になるケースは初めてでした」と振り返る勝山。彼を後押したのは上司だった。今、目の前の仕事に真摯に臨むことが信頼関係を構築し、今後につながるからだ。大企業であるA社は、例えばオフィスの拡張や不動産の購入や売却など、今後も不動産に関わるニーズが出てくる。信頼関係があれば、いずれまた三菱地所リアルエステートサービスとタッグを組む場面が出てくるだろう。

「無事に移転が終わり、担当者の方からは『任せてよかった』と言ってもらえました」。勝山にとって、苦労が報われる最も嬉しい瞬間だ。A社だけではこの移転ができなかったのはもちろん、他社に頼んだとして、これほど手厚くできたとは限らない。勝山は介在価値を十分に発揮できたと自負している。

限られた建物の中から、A社にとって最適なビルを見つけた今回のプロジェクト。「この仕事に正解はありません。丁寧にコミュニケーションをとることで、お客様が思い描いている姿を最大限に引き出し、それを叶える最大限の仕事をすることが私の役目です。今回は、改めてそのことを認識したプロジェクトでした」。この苦労は、勝山にとっても貴重な財産になったに違いない。

勝山 恭嗣
Profile
働く人が長い時間いる場所であるオフィスに携わる仕事をしたいと考えて、三菱地所リアルエステートサービスを志望。三菱地所グループという大きなフィールドで仕事ができることにも魅力を感じた。入社後は、オフィス仲介を担う現部署へ配属。