《 プロジェクトレポート1 》

3カ月余りで7物件を売却
地道な活動が成果を呼び
関係者からの信頼を獲得

プロジェクト概要

不動産流通ビジネスのなかには、弁護士、税理士、会計士といった士業からの紹介をきっかけに、企業の破産や民事再生に伴う不動産処理を行うケースもある。アドバイザリー部は、まさにこのケースを多く扱う専門集団。杉山のもとにも、ある企業の倒産と保有不動産7物件の処理に関する情報が入った。複雑な権利関係や求められた期限のなかで売却を終わらせるべく、杉山が動き出した。

アドバイザリー一部一課 / 杉山 天康 / 2009年入社 / 商学部卒
01

期間は3カ月余り。難易度の高い7物件の売却

ある日、杉山に届いたのは都内にある会社の破産に関する話だった。保有していた不動産は7つ、これを債権回収のため売却したいという。連絡してきたのは債権者である銀行からで、破産管財人(※)である弁護士を紹介された。杉山は、件数の多さから、すぐにサポートとして2名の若手もチームに加え調査に乗り出した。

杉山には急いで物件を調査し、売却の方針を立てなければならない理由があった。というのも、情報を得た段階ではまだ杉山が売却を任されていたわけではなく、まずは弁護士から物件売却の担当者として指名される必要があったからだ。「弁護士事務所には、それぞれに馴染みの不動産会社をはじめとした関係先があります。その中から売却の担当者としてご指名いただくために、各物件の問題点や売却に関する課題を具体的に提示し、最善の売却方法等を提案する必要がありました。調査は確信をもってアピールするための準備でした」と、杉山は振り返る。

7物件は、本社ビル、工場、駐車場、マンション、戸建、別荘など、東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県にまたがっていた。地元の不動産会社には手に余る規模だった。弁護士へのアピールが功を奏し、杉山が売却の窓口に選任されるまでにさほど時間はかからなかった。債権者である銀行は回収額を増やすために、できるだけ高く売却したい。一方、破産管財人である弁護士はスピーディーに売却を終えたい。与えられた期間は3カ月余り。両者の要望に応えるための挑戦が始まった。

※破産管財人…破産者の財産の管理や処分を行う権利を持つ人

02

現場、役所、地元の不動産会社をまわる毎日。地道な活動が成果を呼ぶ

7物件の売却は、いずれも入札で実施することとした。物件の情報を開示して一定の期間を設けた後に、一番高い値段をつけた相手に売却するという方法だ。ただし、待っているだけでは購入希望者は集まらない。物件の宣伝に加え、なるべく高値で落札されるよう工夫もしなくてはならない。

杉山は若手2人と分担し、7物件毎に、地元の金融機関、不動産業者、一般法人等に対し、訪問営業やDM、電話などで紹介活動を行うほか、隣近所を直接訪ね、購入打診などを行った。一方、物件の付加価値を高めるために、現地や役所での調査、測量などを徹底し、時には国会図書館で古い土地利用図も調べ、土壌汚染などの隠れたリスクや懸念事項がないことを確認した。

また、マンション等の開発用地として購入されることが予想される物件は、建物の図面も作って開示。なぜなら建てられる建物の例を示すことで購入検討者が増え、より高い価格で入札が実施できる可能性が高いからだ。このような細やかな対応の数々が、物件を高く売ることにつながった。

さらに、思いがけない事態も起こった。都内にある倉庫の入札期間中に、敷地の隣にある会社が倒産した。隣地と一体の土地になれば活用方法が広がり、開発用地としての価値が一気に高まることから、杉山はすぐさま隣の会社の破産管財人を訪問し、隣の土地の売却窓口にもなることができた。「隣地の売却時には、一体開発も視野に入れた検討者も出てきたため、より高く売却することにつなげられたと思います」と、杉山は説明する。また隣地の破産管財人の弁護士は、別の案件で三菱地所リアルエステートサービスと組んだことがあり、そのときの担当社員の仕事ぶりも理由となり、窓口獲得につながった。すべて、日頃の地道な活動が呼びこんだものだった。

03

関係者すべての幸せを目指す仕事

売却にあたり、気がかりだったのは経営者一族のことだった。「売却する物件のなかには、経営者のご家族が住んでおられるものも含まれていました。住んでいる家を失う不安は大きく、きめ細かなフォローが必要でした」と杉山は言う。

実は、これは杉山の業務の根幹に関わることでもある。「破産案件は、破産という負の出来事から始まるので、売却に前向きでなかったり、不安を抱えている関係者もいます。しかし、その状態のなかで、関係者の精神的な負担を軽減しつつ、より高く、スピーディーに不良債権を処理し、関係者みんなの幸せを実現することが私たちの役目だと思うのです」。杉山はこの仕事への決意を語る。

杉山は、親身になって経営者一族の転居先探しの相談に乗り、不安を和らげることに努めた。その結果、順調に転居先が決まり売却をスムーズに進めることができた。与えられた3カ月余りという期限も守れた上、想定を上回る価格での売却も実現し、破産管財人と債権者である銀行の信頼も勝ち得た。心がけていた「みんなの幸せ」を実現できたのだ。

収穫はもう一点あった。チームを組んだ若手社員の成長だ。3人で案件を分担しながらも、意識して互いに報告しあい、経験を共有した。「不動産の種類によって、課題や懸念等が全く異なります。この経験を通じて彼らは、あらゆる種類の不動産に対して、どう売却すべきかのイメージを持てるようになりました」と、杉山は言う。経験豊富な先輩に見守られながら、若手も裁量を持って仕事をするのは、三菱地所リアルエステートサービスの社風でもある。売却の成功とノウハウの蓄積、若手の成長、そして関係者から得た信頼。案件を通じて、未来につながる様々な成果が得られた。

杉山 天康
Profile
就職活動時、自分という人間を信頼して頂き、お客様から依頼を受ける不動産仲介の仕事に魅力を感じる。なかでも、個人仲介は扱う物件が主に住宅や土地となるが、法人仲介なら様々な物件に携わることができ、より自分自身を成長させられると考え、三菱地所リアルエステートサービスへ。