《 プロジェクトレポート1 》

資産全体に視野を広げ、
不動産をキーに
富裕層を開拓していく。

プロジェクト概要

少子高齢化社会の本格化、また2015年1月1日に行われた相続税の改正を受けて、相続・事業承継が話題になることが多くなり、マーケットとしても成長を 始めている。三菱地所リアルエステートサービスでも、そうした動きに先駆けて2014年4月から新たな部門を立ち上げ、富裕層に対するビジネスを本格化さ せた。

流通事業グループ 営業三部 / 石田 朋之 / 2006年入社 / 工学部卒
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戦略部門に社内から集められた人材

2014年4月、社内の各部署からある分野のビジネスの経験が豊富な社員たちが集められ、流通事業部の中に営業三部が新設された。富裕層の開拓を行う戦略部門だ。三菱地所リアルエステートサービスは、これまで法人顧客を対象とした不動産ビジネスを行ってきた。社員に目を向けると、法人顧客を対象にしながら、その経営層の個人的な資産運用の相談に乗ることも少なくなかったが、あくまでも副産物的な業務で、そこに本格的に取り組むことはなかった。かつて前部署で不動産の有効活用に関する提案を行っていた石田朋之も、法人顧客を対象にしながら、経営層への資産運用コンサルティングを手がけていた一人だ。

石田は、銀行・税理士と協力を得てビジネスを進めることが多く、富裕層マーケットを熟知しており、この配属を抵抗なく受け入れていた。首都圏を中心にした投資用不動産のマーケットは活況そのものであり、新聞には毎日のように富裕層を主なターゲットにした“相続対策”や“事業承継対策”の広告もよく目にしていた。「会社としてそういったマーケットに進出していくのは自然なことと思いました」という石田。しかし、実際のビジネスとなると、そう簡単ではなかった。

「これまでも、同様の案件は扱った経験がありますが、マーケットの中で本格的に戦っていくとなると話は別です。不動産の有効活用という視点でできていた仕事が、相続対策等の資産形成という観点では、銀行・税理士との協力を得ながら取進めるとしても預貯金、有価証券といった金融資産すべてについて知識を習得することにより協力者との円滑な打合せが行えることから、私たちはFP(ファイナンシャル・プランナー)の勉強から始めました」。マーケットの攻略・戦略を考えながら、金融・税金などの知識を吸収する日々が始まった。

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頻繁な出張の日々

2014年の夏、石田のもとに付き合いのある銀行から相談がもちかけられた。福岡のある資産家が、相続対策の一環として東京での不動産の購入を考えているということだ。石田はさっそく福岡に向かった。

会って話を聞いてみると、東京での投資用マンションの購入を検討しているという。相続税対策として最近、東京の投資用不動産が注目されている。政府によって発表される土地の路線価との実勢価格の差が大きいのが東京で、価格も全国の中では安定していることが、相続税対策の資産として優れているからだ。

「最も苦労したのは、そのお客様が不動産投資は初めてだったということでした。専門用語をわかりやすく解説したり、現在の東京の賃貸マーケットの状況などの資料を作成したりということを限られた時間の中で行う必要がありました」。現在の好調なマーケットを反映して、東京の投資用の不動産は足が速い。時間をかけていては、購入を予定していた不動産が別のお客様に売却されることもある。

「私たちは一つの案件の成立までの目安を3カ月と考えています。最初の1カ月で提案・交渉。次の1カ月で契約手続き。そして最後の1カ月で引き渡しなどの実務」。石田の頻繁な福岡出張の日々が続いた。

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広い知識を吸収しながら、貴重な経験も

石田たちは今まで、不動産の売買(媒介業務)を行うことを中心に考えて仕事に取り組んできたが、お客様が求めているのは、単純な不動産の売却または購入ではなく、資産の運用となる不動産の有効活用の提案や現在の運用状況から所有する不動産の見直しの提案、また相続対策にも重要となる不動産の所有および運用等の提案である。競合会社となる同業他社等から当社を選んでもらうにはこの要請に応える必要があり、そのためには不動産売買の流通価格だけではなく、賃貸市況や建築、税金等広範囲な知識が必要となる。

「これらの勉強だけでもたいへんです。しかし、私たちには不動産のプロフェッショナルという強みと、グループで不動産に関する幅広いリソースを有する強みもあります。資産の中で不動産が占める割合はお客様によって様々ですが、相続などを考える時、キーになる資産であると私は認識しています」。

提案力を高めるために知識を吸収している石田にとって、この仕事ならではの楽しみもあると言う。
「仕事柄、多くの創業社長などと出会います。そうした人たちは、私たちと異なる視点を持っているケースも少なくありません。不動産は評価が分かれる時に動くと言われています。価格が上がると思う人ばかりだと、物件が枯渇し、下がると思う人ばかりだと購入しようという人が居なくなります。現在はまさに“評価が分かれている時期”で、取り引きが活発です。その中で売るタイミングや買うタイミングを私なりに分析しています。ある社長に所有されている不動産の“売り時”を提案したところ、“まだまだ”と言われていましたが、その後、私の売却提案からその社長が言われた期間経過後に不動産市況が上向いたのです。脱帽でした」。そう語る石田には、新たな挑戦をしながら、そこでの一つひとつの経験や出会いを楽しんでいる余裕が感じられた。

石田 朋之
Profile
大学で専攻していた建築デザインが好きであったことと、“衣食住”という人間の根幹に関わる仕事に携わりたいと、住宅メーカーや不動産会社に絞り、会社訪問。その中で、新規に物件を計画し、提案していくことの面白さにも目覚める。