オフィスのAI化・IoT化がもたらす「生産性」効果とは

2017.10.06

「生産性」が注目されている。高い生産性を実現するために企業がすべきことはたくさんあるが、その一つに従業員が快適に、生き生きと働けるオフィスをつくることがあるのは異論がないだろう。
ここ数年、生産性や創造性をあげるアイデアとして、オフィスのAI化・IoT化が注目されている。AIとは人工知能のことで、いろいろな分野で活用されつつある技術。機械学習、深層学習によって、人間と同等またはそれ以上の知能をつくりだそうという試みだ。一方のIoTはInternet of Thingsの略で、日本語では「モノのインターネット(化)」とされる。様々なモノがインターネットに接続され、モノを通じて様々なデータを取得する事ができる。
では、オフィスでAI、IoTを進めるとはどういうことだろうか。

(写真=one photo/Shutterstock.com)

オフィス環境の快適さを高める

直近のオフィスのAI化・IoT化の対象として空調が挙げられる。
米国の大手IT企業では、従業員が自分のスマートフォンで「暑い」「寒い」という体感をAIに伝え、AIが最適な温度に調整するシステムを採用している。AIは従業員からのデータを蓄積するとともに、日ごとの気温・湿度等のデータを掛け合わせ、自動的にオフィスに適した空調を構築していくのだ。
そのため従業員は快適な環境の中で働くことができるようになる。
さらに、室温や明るさを計るセンサーやカメラなどから得たデータ、ビルの利用者が入力した室温、照明へのリクエストデータを活用し、ビル環境を快適なものにする例もある。先駆的な取り組みの中には、AIがビル利用者個人に向けて健康アドバイスをするという構想まであるという。
また近年、従業員のコミュニケーションの増加は生産性と創造性の必要条件と位置づけられており、事務所内にカフェやリラックススペースを設ける企業が増えているが、AIやIoTを使って従業員間のコミュニケーションを高める取り組みもある。
従業員や従業員の使うデバイスにビーコンセンサーを取り付ける、またはオフィス内の人の流れを解析するカメラを用いて「社員がどこで、どんな仕事をしているか」というデータを集める企業が増えている。オフィス内で有効に活用されていない設備はどこか、また社内でコミュニケーションが多く取れている場所はどこかを把握し、オフィスの最大活用を図るというわけだ。
会議室を有効に活用する取組みもトレンドである。会議室不足には従業員の不満が詰まっているが、会議室不足は容易には解決できない。一方でふたを開けてみるとカラ予約が意外と多いのも事実である。上記のような従業員の居場所データがなくとも、会議室に照度センサーを設置する事で、実際に使われている会議室の状況をリアルタイムに把握する取組みを行っている企業が増えているという。
会議室の増設を検討する前に、是非IoTを用いて、実際の使用状況を分析してみてはいかがだろう。

これからのオフィスづくり、オフィス選びはどうなるのか

AIやIoTを活用したこれからのオフィス像は国内オフィス家具メーカーなども提示をしている。
たとえば自分や同席者の周囲だけ雑音を打ち消してくれ、雑音を気にせず打ち合わせしたり一人で集中して作業できたりする空間や、オフィス家具の状態と、使っている人の状態をセンシングし、家具を管理すると同時に、ワーカーの姿勢や周囲の環境をコントロールするオフィスといった近未来を感じさせるようなものの登場が期待されている。
たとえこのようなアイテムどおりにいかなくても、AIやIoTといった新しい技術は、今以上に取り入れられるだろう。そうなれば、そもそものオフィスづくりの考え方も変わるはずだ。
デスクの配置、会議室や打ち合わせスペースのレイアウト、コミュニケーションスペースのあり方など、オフィス環境に関するあらゆることを、過去の常識や先入観にとらわれず考えることになる。
生産性を上げることで恩恵を受けるのは企業だけではない。従業員もコンピュータに代替可能な単純作業ではなく、より高度なレベルの仕事に取り組めるようになり、やりがいを感じながら、生き生きと働けるようになる。
オフィスをAI、IoT化すること、またAIやIoT化に対応したオフィスビル選びは、成長と快適な労働環境を実現したい企業にとってこれから必須の取り組みになるだろう。