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100%償却もできる「中小企業経営強化税制」で遊休不動産を活用?

2017.08.24

2017年4月より「中小企業経営強化税制」が制定されていることはご存じだろうか。中小企業経営だからこそ利用できる税制であり、条件に合う設備投資であれば100%償却(即時償却)も可能となっている。
利用しない手はないともいえる「中小企業経営強化税制」。一体どんな税制なのだろうか。設備投資を検討している経営者のほか、遊休不動産をいかに活用しようか考えている経営者にとっては、一つの解決・決算対対策手段として利用できるかもしれない。

(写真=Lemau Studio/Shutterstock.com)

100%償却もしくは税額控除から選択可能

中小企業経営強化税制では、2017年4月1日から2019年3月31日までに機械装置や工具(測定工具および検査工具に限る)など生産に利用する設備を取得し、一定の条件に合致すれば、100%即時償却か取得価額の7%(資本金3,000万円以下の中小企業者および個人事業者の場合には10%)の税額控除の適用が可能だ。
つまり、新しく設備投資を行う場合に、条件に該当すれば税優遇にもつなげることができる仕組みなのだ。具体的には下記の条件を満たす必要がある。

1. 青色申告書を提出する中小企業者等であること
2. 中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けていること
3. 2019年3月31日までに取得した生産性向上設備(機械装置、工具、器具備品、建物附属設備など)であること

この税制では、生産性向上や収益力強化を図ることが目的となるため、機械装置などでは、旧モデルに比べて年平均1%以上生産性が向上することが条件となる。もしくは、年平均5%以上の投資収益率が見込まれると投資計画に記載されている必要があり、この投資計画は経済産業大臣の確認を受けている必要がある。
また、それぞれの投資金額に関しても基準が設置されている。機械装置であれば一台または一基の取得価額が160万円以上であること、工具であれば30万円以上、器具備品も30万円以上、建物附属設備であれば60万円以上である必要がある。
こうした条件をクリアすることで生産性アップ、収益力アップと同時に税優遇も受けることができる仕組みとなっている。100%償却を選択すればその期においては大幅な利益圧縮へとつなげることも可能だ。
なお、税額控除を選択した場合には、その期の法人税額の20%が控除の上限となる。具体的には、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制、商業等活性化税制における控除額の合計が20%以内となる必要がある。仮に控除限度額を超えている場合には、超えた部分は1年間繰越することができる。

中小企業経営強化税制の注意点

この税制を利用する際に注意したい点がある。それはあくまで生産に利用する設備が対象であること。そのため、本店などの建物附属設備は対象外となり、事務用の器具備品も対象外となる。また、中古品は対象外となることにも注意したい。
そして、認定を受けるためにはある程度時間がかかることも忘れてはならない。目安だが、申請から認定まで30日程度かかることになる。認定を受け、設備取得を行った場合に初めて税制適用となるため、時間に余裕をもって取り組む必要がある。
今後収益力強化のため、生産強化のために設備投資を検討している場合には、是非この仕組みが利用できないか検討してみよう。また、遊休不動産があり、特段利用していない場合には、その土地や建物を利用して生産拡大につなげられないか検討してみよう。
税優遇のメリットと遊休不動産活用のメリット、そして売り上げ拡大に貢献できるのであればこうした税制を利用しない手はない。企業にとっては都合の良い税制といえるのだ。
前述の通り、この税制は、主に生産性向上設備が対象だ。遊休不動産の活用が全て税制対象になるわけではない。しかし、遊休不動産を活用するためのひとつの選択肢にはなる。この制度をきっかけにして、使っていない工場などの遊休不動産を見直してはいかがだろうか。2019年3月31日までの措置となるため、検討は早めに行いたい。(※税務に関する詳細は税理士などの専門家にお問い合わせ下さい)