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貴社のオフィスは標準以上? オフィスの魅力を高めるトイレの数と質

2017.12.07

従業員の士気を上げるだけでなく、オフィスを訪れるお客様に対しても好印象を与えるために重要なことの一つがオフィスの魅力アップ。中でも水回り設備への注力は軽視できないポイントだ。
オフィスの水回り環境といえば、給湯室やトイレ設備が頭に浮かぶだろう。近年の給湯室は、ビルオーナー側でスペースを広く設計するケースも見られる。最新のコーヒーマシンを導入するオフィスも多い。一部企業では、開放感を持たせた給湯室を設け、休憩室の代わりとなるようなケースさえある。
今回は水回りの中でもトイレにフォーカスして考えてみる。

(写真=Caito/PIXTA)

魅力あるオフィスのトイレ事情

LIXILが2012年に行った「オフィストイレの意識調査」によると、オフィス環境で重視する点において、「トイレ」を選んだ人は60%と、「空調」の66%に続き2番目に多かった。女性に限れば69%で最も多い回答となっている。オフィスの魅力を高める上で、「トイレ」を中心とした水回り設備の充実は必要不可欠なのだ。

オフィスのトイレで重視するポイントとして、「数」について考えてみる。労働者数に対していくつあれば、良好なオフィス環境だと感じられるのだろうか。

オフィスの衛生基準を守るため、労働安全衛生法に基づく厚生労働省令「事務所衛生基準規則」では、オフィスにおけるトイレの数が次のように定められている。

男性用大便所……同時に就業する男性労働者60人以内毎に1個以上
男性用小便所……同時に就業する男性労働者30人以内毎に1個以上
女性用便所……同時に就業する女性労働者20人以内毎に1個以上

男女共60人の職場で必要なのは、男性用大便所1、男性用小便所2、女性用便所3だ。他にも、男性用と女性用で区別すること、手洗い設備を設けることなども規定されている。

ただ、この規則にあるトイレの数はあくまでも最低限の衛生基準を満たすためのもの。クリアするだけで、快適なオフィス環境を築けたと言えるわけではない。

快適なオフィス環境を築くためのトイレの数は、衛生分野などの学術団体である空気調和・衛生工学会がその指針を示している。たとえば前述の男女共60人のオフィスで執務面積が1,200平方メートルとした場合の計算をしてみると、待つことの少ない良好なサービスレベルを満たすために必要な数は、男性用大便所が3、男性用小便所が3、女性用便所が4となる。

前出の規則が定める最低限の基準と比べると、それぞれ男性用大便所が2、男性用小便所が1、女性用便所は1ずつ多いということになる。

ちなみにTOTOの調査によると、2004年1月から2010年3月の間に竣工したビルの半数以上がこのサービスレベルを上回る個数を用意している。

水回り設備は数だけでなく、質にこだわる必要も

トイレの数が十分なら水回りが快適なオフィスと言えるわけではない。設備の質に注目することも重要だ。
トイレの洋式化は当たり前だろうし、温水洗浄便座、フタなしトイレの採用も広がっている。男性用小便器の間に仕切りを設けるケースや小物を置いたり掛けたりできるような工夫も見られる。
洗面ゾーンもさまざまな工夫が凝らされている。蛇口の形状の変更、人感センサーの利用などで、清潔性や非接触性を高めたところもあれば、女性用にパウダースペースだけでなく、中には姿見や小物入れまで用意しているところもある。

先述したように、トイレの「数」や「質」にこだわることは、オフィスの魅力を高める上で必要不可欠と言える。

しかし、現実にはトイレなどの水回りはオフィスの共用部であることがほとんどであり、テナントが自ら手を加えることは難しいケースが多い。また、水回り施設の変更・改修は大規模な工事が必要となるケースが多く、ビルの造作によっては対応が難しい場合もあり、ビルオーナー側も実現するのが容易ではない。

魅力あるオフィス造りのために、設備が整ったビルに移転することも一つの選択肢かもしれない。普段は考える機会が少ない水回り設備であるが、一度、ご自身のオフィスの状況を確認してみてはどうだろうか。