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投資としてのオフィス移転 立地がもたらす効果とは

2017.11.09

従来、オフィスはコスト(経費)として考えられるのが一般的で、コストを最低限に抑えてつくられた画一的なものがほとんどだった。しかし昨今、経営側が「投資」という観点を持ちつつあるという。オフィス家具メーカーの指摘によれば、オフィス環境の構築は経営戦略の一つの重要な手段であり、単にオフィスをつくることが目的ではない。オフィス構築は経営戦略上の目的を達成するための手段という位置づけにようやくたどり着いたといえるそうだ。

(写真=fuyu liu/Shutterstock.com)

どんな立地・交通アクセスのオフィスが望ましい?

経営の重要な手法になりつつあるオフィス作りだが、オフィスがどこにあるかという事は非常に重要なファクターだ。

オフィスの立地を考えるときのポイントとしてまず挙げられるのは、公共交通機関が使いやすい場所を選択することだろう。都心の移動は電車が中心だが、JRや地下鉄の中でも取引先などに移動しやすい路線がある。さらには従業員の通勤に使いやすい路線かどうかという点も考慮したい。駅の中でも、複数の路線が利用できるターミナル駅は乗り換えに便利であり、営業効率の向上につながることは言うまでもない。

また、「駅近」「駅直結」は従来から高く評価されている。需要が多い反面、賃料が高いという現実的な面はあるが、業務効率や通勤の効率性を考えると得られるリターンは大きいだろう。また、各地で再開発が進む東京の都心では最近、単に駅とオフィスビルが直結しているだけでなく、オフィスビルの下層に商業施設が入ったビルも増えている。このような周辺環境の利便性も従業員にとっては重要なオフィス環境といえるのではないだろうか。

ただ一方で、健康志向の高まりから、若干駅から離れており、周辺に緑がある事を好む従業員も増えてきているそうだ。特にクリエイティブな仕事をしている人からそういった要望があるそうで、一概に駅から近い事が良いというわけではなくなっているというから興味深い。

次に、いい立地にオフィスを構えることのメリットとして考えられるのは、「同じ業界の企業が近くにオフィスを構えることで相乗効果を得られる」という点だ。たとえば、渋谷にはITベンチャー企業が多く存在しており、秋葉原にはあらゆる電気店が軒を連ねている。アメリカのシリコンバレーなどと同様、このように同業界の企業が相利共生することによって、その業界全体を底上げすることにもつながる。あまり知られていないところだと、外資系航空会社の多くは虎ノ門・神谷町エリアに日本法人の本社を置いていたりする。また、横とのつながりが増えることで、情報交換が活発になり、業界のトレンドなども素早くキャッチすることができるようだ。

さらにメリットとして挙げられるのが、他の大手企業も名を連ねるなど「そのエリアにオフィスがあることがブランディングにつながる」という点だ。たとえばアパレルであれば銀座や表参道、金融なら丸の内・大手町や兜町といった具合だ。日本橋には現在製薬会社が多く存在しているが、これはかつてこのエリアが薬問屋としてにぎわっていた名残と言われている。このような歴史的背景のある場所にオフィスをもつことで、企業のアイデンティティや信頼性が高まるという考え方もあり、これもまた一種のブランディングと言えるだろう。

移転にはコストがかかるものの……

人気エリアや好立地のビルなどへの移転には、一時的にコストがかかり、賃料も高くなるなど考慮すべき点は少なくない。

ここで挙げたような条件が整った、立地・交通アクセスにオフィスを構える企業は、社員にとって働きやすく、新しい人材の獲得にも有利である。通勤にストレスがかからない立地であれば、従業員が感じるストレスも小さくなるし、移動にかかる時間や交通費も少なくて済むというメリットもある。

生産性向上、将来的な収益拡大、人材獲得面での有利さ、企業イメージ向上……。これらを利点として見積もれば、たとえ移転コストがかかったとしても、長期的な視点で“投資”の効果として企業が得るであろう“リターン”は小さくないはずだ。