福利厚生にも有効!
企業が社宅を持つメリット3つ

2017.08.24

「社宅」といえば、企業にとって福利厚生の一環として活用している企業も多いはずだ。単身者向けの「寮」に対して、ファミリー向けの社宅は家族全員が住むものであって、ある一定の住環境レベルを確保する必要があり、転勤が必要不可欠な企業では社宅の充実、整備は大きな課題といえる。近年は、高級社宅を売りに差別化を図る企業も出てきており、社宅の幅は大きく広がっているようだ。
そんな中で空き家への課税強化など、遊休不動産の活用が注目され、社宅への転用などもクローズアップされている。良質の社宅の確保に苦悩している企業や社宅の運用に不安を感じている企業など、企業が社宅を運用することのメリット、デメリットを整理してみよう。

(写真=PIXTA)

企業が社宅を持つ3つのメリット

そもそも、企業が社宅を導入する目的は大きく分けて「福利厚生」と「転勤対応」がある。転勤対応は、転勤に伴う従業員の負担を少しでも軽減するための制度であり、数多くの企業が導入している。企業が社宅を持つ3つのメリットについてみていこう。

1. 財務上のメリットがある
社宅制度は、企業に財務上のメリットをもたらす。まずは保有資産として確保することができ、さらに社宅を維持するのにかかるメンテナンスや固定資産税といったコストは、一般的に「福利厚生費」として処理することができる。
また、借上げ社宅の場合は、月々の賃料に加えて一定の礼金敷金や更新料が必要になるが、社宅を保有していればそのようなランニングコストは不要になる。
社宅の場合は格安の賃貸料を設定してしまいがちだが、激安の料金設定にすると、社宅ではなく「給与」とみなされてしまうことがあるため注意が必要だ。一定額以上に設定しておくことが重要になる。(※これら財務上の詳細は税理士など専門家にご相談下さい)

2. 社員の満足度向上に繋がる
最近クローズアップされているのが「福利厚生」面での充実を目指した社宅の提供だ。良質の住環境を提供することで、従業員のモチベーションを高め、ロイヤリティを刺激することが可能になる。
終身雇用が当たり前だった高度経済成長時代には、福利厚生という面から社宅の充実が量的な面で求められてきた。都市部の地価や家賃が高騰していた時代には、社員のモチベーションアップには効果的だったわけだ。ところが、低成長時代になって以降、社宅は経費削減の標的となり、住宅手当などの形で代替されることが多くなった。
それが近年、社宅のメリットが見直されて、利用から質への転換も図られるようになりつつある。社宅を利用する従業員の側としても、以前は社宅特有の人間関係の煩わしさを懸念する声があった。終身雇用制の解消などによって雇用の流動性が増している現代、そのような懸念も低くなっているだろう。

3. 不動産投資としても活用できる
社宅にも需要の増減がある。転勤する社員が全員、社宅に入るわけではないのだ。とはいえ、借上げ社宅などと異なり、自社保有の社宅であれば、不要な時には社外に貸し出すことも可能になる。
社宅として利用する必要がなくなった際も、売却するという選択肢の他に、そのまま不動産投資を行う、という選択肢も持てるわけだ。もちろん、社宅として活用しながら、空室をピンポイントで社外に貸し出すことも可能だ。

企業が社宅を持つデメリット

ここまで企業が社宅を持つことのメリットを紹介してきた。しかし、その一方、デメリットもある。メリットとデメリットをよく理解し、総合的に判断することが重要だ。
例えば、土地の取得代や建設費、あるいは住宅の購入費といった初期費用がかかってくる。固定資産税も含めて、メンテナンスのための修繕費、大規模な社宅の場合には管理員などが必要になり、ランニングコストがかかるケースも多い。築年数によっては、建て替えや大規模な修繕が必要になってくる。
せっかく初期投資をして社宅としての資産を保有しても、不動産価格の変動などによって、資産価値そのものが変動する場合がある。また、立地などが悪すぎて、社員が入居してくれない、外部に貸し出しても入居者が入らない、といった問題がでてくる。稼働率が悪いと不動産としての資産価値そのものが低下する可能性もある。

福利厚生から転勤対応、採用面でのバックアップ?

最近は、社宅代行業者なども数多くあり、社宅に対する煩雑な維持管理体制は必要なくなっている。また、不動産価格の好転などによって、企業が社宅を保有するニーズが高まりをみせている。
人事院が毎年出している「民間企業の勤務条件制度等調査結果の概要」でも、2015年の調査では「転勤がある企業」の71.3%が社宅制度を導入しており、そのうち自社保有の社宅を持っている企業は23.7%だ。転勤のない企業も含めた全企業で社宅制度を導入している企業は、まだ46.8%で5割に満たないが、今後は徐々に増えて行く可能性がある。