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世田谷の知る人ぞ知る美術館

静嘉堂文庫美術館は東京都世田谷区岡本にある美術館だ。この美術館は三菱二代目社長の岩崎彌之助(1851~1908)と四代目社長の岩崎小彌太(1879~1945)の父子二代によって蒐集された、日本や東洋の古典籍や古美術品を収蔵する「静嘉堂」のコレクションを公開する美術館活動を行っている。彌之助の堂号を冠した「静嘉堂」は約20万冊の古典籍(漢籍12万冊・和書8万冊)、約6,500件の東洋古美術品などを収蔵している。


静嘉堂文庫近くにお住まいの、ナビゲータを務めていただいた羽田さんは、家族と連れ立って何度も訪れているとか


展示は館内1階にある展示室の部屋を三つに区切って行われている


展示室前の外光のはいるラウンジでも展示が

コレクションには、《国宝 曜変天目(「稲葉天目」)》をはじめ、《国宝 俵屋宗達筆 源氏物語関屋・澪標図屏風》や《国宝 和漢朗詠抄 太田切》といった7点の国宝、《重文 尾形光琳作 住之江蒔絵硯箱》、《重文 平治物語絵巻 信西巻》をはじめとした84件の重要文化財を含め、《大名物 唐物茄子茶入 付藻茄子》や《酒井抱一筆「富士山図」》などの貴重な作品の数々を所蔵しており、かねてより美術愛好家にとっては、何度となく足を運びたくなる美術館として知られている。


《重文 尾形光琳作 住之江蒔絵硯箱》


《重文 平治物語絵巻 信西巻》

一度は目にしたい曜変天目とは

これだけの貴重な美術品の数々を所蔵している静嘉堂文庫美術館だが、やはり目玉は曜変天目だろう。

曜変天目とは、南宋時代(12〜13世紀)に中国福建省建窯で焼かれた中国陶磁の至宝。茶碗の内側にあたかも宇宙に浮かぶ星雲のように星紋が輝いており、その美しさ、妖しさに目を奪われないものはいない。この星紋は焼成時の偶然の産物と見られている。「曜変」は、中国では「窯変(容変)」と表記されたが、星紋が見られることから「星」や「輝く」を意味する「曜」が当てられた。

静嘉堂文庫美術館が所蔵する曜変天目は、三代将軍・徳川家光が病の春日局に下賜したことで、後に淀藩主稲葉家へ伝えられた。これが通称「稲葉天目」とされる由来だ。近代に入り、1934年に三菱の四代目社長である岩崎小彌太がこれを購入して、岩崎家の所蔵するところとなったが、小彌太は「品、私に用うべからず」として、使うことは生涯なかったという逸話が残されている。

曜変天目は中国で焼かれているものでありながら、完全な形を残して現存する曜変天目は、日本にある三碗のみとなっている。京都の大徳寺龍光院、大阪の藤田美術館が所蔵するものが一碗づつがあり、すべて国宝指定されている。中でも静嘉堂文庫美術館所蔵の曜変天目はもっとも星紋が華やかなものとして知られている。

曜変天目は常に展示されているわけではない。決められた期間にのみ公開されており、次回の公開は企画展『酒器の美に酔う』の会期中(2018年4月24日~6月17日)となる。ぜひ来春を楽しみにしていただきたい。