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日本・東洋の美の殿堂が箱根に

2013年秋、箱根にまたひとつ新たな美術館が加わった。「岡田美術館」だ。延べ床面積は約7,700m²、展示面積は約5,000m²にもおよぶもので、全国的にみても規模の大きな美術館と言える。その規模以上に岡田美術館を大いに印象づけたのは、幻の大作と言われた喜多川歌麿の肉筆画「深川の雪」を公開して話題を呼んだことと、美術館正面の壁面に掲げられた巨大な「風神雷神図」が描かれた壁画の存在だろう。このふたつの話題により、岡田美術館が日本や東洋の美術をテーマに据えた美術館であることを十二分に知らしめたと言える。


エントランスの奥には後ろの山肌が見える。この奥に5階建ての美術館があるとはにわかに信じられない


喜多川歌麿《深川の雪》(部分)江戸時代 享和2年~文化3年(1802~06)頃 岡田美術館蔵
※『歌麿大作 深川の雪と吉原の花』(2017年7月28日~10月29日)において公開予定

岡田美術館は、日本・中国・韓国を中心とする古代から現代までの美術品を展示する、東洋の美を一堂に会した美術館で、「古くから日本で受け継がれてきた美術品を大切に守り、美と出会う楽しさを分かち合い、次代に伝え遺したい」との願いから美術館が構想され、「日本とアジアの文化を世界に発信し、広く文化の創造に貢献する」ことを使命に掲げている。

同館がいかに日本や東洋の美に力をいれているかは、展示の構成からも一目瞭然だ。5つのフロアのすべてが近世・近代の日本画や、東アジア(日本・中国・韓国)の陶磁器を中心に、土偶や埴輪、仏像や仏画、蒔絵、ガラス工芸など、幅広い時代・分野の作品を、時代の流れや流派にそって展示している。さらに随所に逸品コーナーやテーマ展示室を設けたり、こどもプログラム(日本語のみ)も用意した液晶タッチパネルによる作品解説(日・英・中・韓対応)を設置するなど、幅広い層、年齢に対して、より興味を惹き、理解を深められる工夫がなされている。

日本の美に思い入れ、こだわる

同館のコレクションは尾形光琳の「雪松群禽図屏風」から始まった。以後、「日本・東洋の絵画」コレクションには、伊藤若冲の「花卉雄鶏図」をはじめとした桃山、江戸時代から現代に至るまでの作品を中心に蒐集が進められてきた。俵屋宗達、尾形光琳から酒井抱一、神坂雪佳ら琳派の作品、前述の喜多川歌麿「深川の雪」や葛飾北斎の「夏の朝」といった浮世絵、そして近代に入って、菱田春草の「海月」や横山大観の「霊峰一文字」をはじめ、速水御舟、上村松園、小林古径、東山魁夷といった日本画の多彩な顔ぶれが揃う。


まさに金屏風の間と言って差し支えないだろう3階展示室。四季折々の表情が描かれた作品が美しい

「日本・東洋のやきもの」コレクションには、日本の土偶・埴輪に始まり、古九谷・鍋島、野々村仁清や尾形乾山の京焼といった日本の陶磁器の他、中国の古代から清朝、韓国の高麗・朝鮮時代まで、各時代のやきものがある。「日本・東洋のうるし」コレクションでは、「椿若松蒔絵螺鈿硯箱」(伝 尾形光琳)など琳派に属する華やかな蒔絵のほか、中国・韓国・琉球の精緻なうるし工芸が収蔵されている。「中国の青銅器」コレクションには紀元前のはるか昔に中国で作られ、現代にも伝わる希少な青銅器の名品がある。「祈りの世界」コレクションには、飛鳥時代の誕生仏や平安・鎌倉時代の仏像、両界曼荼羅や来迎図などの仏画などが収蔵されている。


素晴らしい日本の漆芸の技に見惚れる

さらにこれらの収蔵作品を中心に毎回、さまざまなテーマの企画展を開催しており、同館の違った顔をのぞかせてくれる。例えば、「魅惑のガラスガレ、ドーム展ー東洋の美に憧れてー」(2017年4月8日~7月21日)での、同館秘蔵の全作品(約120件)からなる充実した「ガレとドームのガラスコレクション」からジャポニスム(日本趣味)にテーマを求めた展示では、とりわけ特集「初夏の風物詩“アイリス”」における、神坂雪佳の「燕子花図屏風」(大正~昭和時代前期)とガレやドームの花器とのコラボレーションが見逃せない。日本の作品だけが日本を表現しているわけではないことがよくわかる展示だ。


浮世絵の印象が強い岡田美術館だけに、このガラスコレクションには圧倒される